150年の歴史を持つ「デラウェア」

前号では、紀の川流域で栽培が盛んな「ぶどう」の歴史を取り上げた。県内では少なくとも20種類が栽培。今週は「デラウェア」を紹介したい。
デラウェアは種なしぶどうの定番として、古くから親しまれる品種。1房あたりの重さは150㌘程度。実は小粒でありながら、甘さが強く、適度な酸味があり、香りも良い。
元々は種ができる品種であるが、ジベレリンというホルモン剤に房を浸けることで、種ができないよう処理されている。
原産はアメリカ。自然交雑種とされ1855年にオハイオ州デラウェアで発表されたことから、この名が付いた。日本には1872年に入ってきたとされる。
巨峰などの高級なぶどうと比べ、手頃な価格で購入できることから、庶民に親しまれてきた品種であるが、現在はさまざまな種類の大粒種が出回るようになり生産量が減少。40年間で半減したという統計値もある。
主な生産地は、第1位が山形県(904㌶)、第2位が山梨県(341㌶)、第3位が大阪府(267㌶)となっている(2018年度農水省統計)。大阪府内では柏原市、交野市、枚方市などで盛んに栽培。デラウェアが日本に入って間もない1884年から本格的に栽培が行われ、出荷以外の収入源として、近隣の農家が集団で「観光ぶどう狩り」に取り組むなど、観光農業の先駆けとしても知られる。露地物は7月下旬から9月下旬まで収穫できる。
デラウェアには、目の疲れに効果があるとされるポリフェノールの一種「アントシアニン」や、がんの抑制作用が期待される「レスベラトロール」が含まれ、皮ごと食べることでその効果が得られるという。
健康維持や増進にも役立つデラウェア。大粒種が多く出回る中ではあるが、昔懐かしい味わいを楽しんでほしい。
(次田尚弘/和歌山市)