お客さんを笑わせたい 子ども落語家活躍
落語のボランティア団体、わかやま楽落会(栗本哲志会長)に所属する小学生4人が、さまざまな子ども落語の大会で優秀な成績を収めている。各家庭で練習に取り組み、大人の会員や現役の落語家から指導を受けてきた子どもたちが、日頃の成果を発揮。大人顔負けの語りやしぐさで楽しませる4人は「もっとうまくなりたい」と日々稽古に励んでいる。
同会は2008年に発足し、10年ほど前から子ども向けのワークショップを開いている。現在は大人約20人、小学1年生から高校2年生までの子ども約15人が所属。毎月第2土曜日に、和歌山市西高松の県立図書館で活動し、市内各地で寄席も開いている。
7月に宮崎県日向市の市文化交流センターと市中央公民館で開かれた、子ども落語最大の大会「第十三回ひむかの国こども落語全国大会」では、宮北小学校1年生、「のりのり亭おにぎり」こと松本あさひさん、有功東小学校4年生の「福々亭マスケ」こと福西凌成さんが優秀賞に輝いた。小学生から高校生までの約40人の中で、上位4位以内に入った。
松本さんは、「初天神(はつてんじん)」を披露。歴代、小学1年生での同賞受賞は2人目となる。「間違えないように覚えるのを頑張った。大きい大会で賞を取れて、びっくりした。うれしい」と振り返った。
福西さんは1年生から落語を始め、自身2回目の大会出場で初受賞。演目「ぜんざい公社」を披露した。福西さんは、家庭では両親に何度も自身の落語を見てもらったといい、「初めての賞ですごくうれしい。所作を細かくし、お客さんが想像しやすいようにして、次は優勝してみたい」と話した。
宮北小学校3年生の「のりのり亭おむすび」こと松本滉正さんは、ことし8月に大阪市で開かれた、「第十八回大阪くらしの今昔館子ども落語大会」に出場。「つる」を披露して第3位になり「ずっと悔しい思いをしていたので、うれしかった。お客さんに笑ってもらうために、もっとふざけて(表情を豊かにして)、滑舌も良くしたい」と意気込んでいる。
新南小学校3年生の「にじいろ亭花火」こと松浦史明さんは、ことし6月に兵庫県豊岡市の出石永楽館などで開かれた「第六回出石永楽間・全国子ども落語大会」で「金明竹(きんめいちく)」を披露し、豊岡市教育委員会賞に選ばれた。1年生から落語を始め、2回目の大会出場で初めての受賞となった。松浦さんは「早口なところを、はっきりとできるように頑張った」と振り返り、「自分が楽しんでやりたい。来年の大阪の大会でも賞を取りたい」と意気込んでいる。
同会では、桐蔭高校2年生の「ぴょんぴょん亭うさぎ」こと小阪はやのさんが、「第十三回ひむかの国こども落語全国大会」で優秀賞、向陽中学校3年生の「ピコピコ亭たい焼き」こと朝長柊羽さんが、「第六回出石永楽館・全国子ども落語大会」で豊岡市長賞、「第十八回大阪くらしの今昔館子ども落語大会」で笑福亭伯枝賞を受賞している。
約5年前から同会で指導に当たっている、笑福亭呂好さん(43)は、「みんな感情表現が豊かで、のびのびと落語をしている」と言い、栗本会長(65)は「落語を通して人前での話し方を学び、世代を超えた交流をしてほしい」と話している。