心にじわじわ効く 紙芝居研究会がイベント
紙芝居の楽しさ、演じる喜びを学んでいる和歌山紙芝居研究会(森勝代代表)は3日、和歌山市屏風丁の市民図書館で、子どもたちに紙芝居の魅力を伝えるイベントを開いた。同会の会員と、図書館のスタッフ合わせて10人が13の紙芝居を披露。合間に手遊びやマジックで盛り上げ、参加した約70人の親子を楽しませた。
日本全国と、世界55カ国に会員がいる紙芝居文化の会は、12月7日を「世界KAMISHIBAIの日」と決め、皆で演じ、楽しむ日としている。それにちなんでイベントを開いた。
和歌山紙芝居研究会は森教二さん(81)が「短い言葉で内容が豊かな絵本と紙芝居の魅力を多くの人に伝えたい」と2002年に結成。妻の勝代さん(78)も参加し、紙芝居や絵本の読み聞かせを行うおはなし会を毎月1回同図書館で開くなど、夫婦で活動を続けてきた。
昨年12月、教二さんが一時体調を崩し、勝代さんが代表を引き継いだ。現在20人の会員を勝代さんがまとめている。
トップバッターを務めた勝代さんは、「ぽん!」と手をたたきながら話が進む観客参加型紙芝居「みんなでぽん」で会場を盛り上げた。
赤と黄色のクレヨンが、自分の方が偉いとけんかする『くれよんさんのけんか』、新幹線は速い、速いはつばめと、言葉をつなぐ紙芝居『しんかんせんははやい』など、次々と変わるストーリーに皆が夢中で聞き入っていた。
体調が回復した教二さんは『かさじぞう』『ぼたもちとこぞうさん』を演じ、得意のマジックも披露。会場は驚きと大きな拍手に包まれた。
一番前に座り、真剣な表情で紙芝居を見ていた同市の前川陽和さん(3)の母・涼音さん(27)は「保育園で紙芝居を見てから好きになって、きょうはとても楽しんでいる」とにっこり。
勝代さんは「ことしは参加者が多く盛り上がり、充実した紙芝居の日になった」と安堵(あんど)の表情。
教二さんは「紙芝居は予防接種のようなもので子どもの心にじわじわ効いてくる。将来何か起こったとき紙芝居を思い出して判断する力が身に付いてほしい」と話していた。