上品な甘さ「瀬戸ジャイアンツ」

前号では、一粒が鶏卵程のサイズにまで成長し、世界最大級の異名を持つ「雄宝」を取り上げた。今週は、見た目がシャインマスカットに似た「瀬戸ジャイアンツ」を紹介したい。
瀬戸ジャイアンツは、1979年に岡山県で生まれ、1989年に品種登録された。ヨーロッパ系の品種である「グザルカラー」と「ネオ・マスカット」を交配させたもの。黄緑色をしており、大粒であることから、シャインマスカットと瓜二つである。
特徴は皮が薄く、種なしであること。パリッとした弾けるような食感があり、爽やかで甘酸っぱく、シャインマスカットよりも上品な味わい。糖度は18度前後と高く、穏やかな酸味があるが、香りはあまり感じられない。1房あたりのサイズは500~800㌘で、1粒あたりの重さは大きいもので30㌘程度になるものもある。
完熟すると黄緑色から黄色に変色し、表面に茶色の点が現れるようになり、これが食べ頃のサインといわれている。種が無く、果皮が薄いことから調理が容易で、ジュースやゼリー、シャーベットなどのデザートに用いられるなど、さまざまなバリエーションが楽しめる。
主な収穫期は9月末から10月初旬ごろで、一般的なぶどうと比べ遅め。加温栽培では6月から11月まで収穫でき、長い期間にわたり安定的に出荷できる。
2018年の農水省統計によると、栽培面積の第1位は岡山県(45㌶)、第2位は香川県(3㌶)、第3位は愛知県(2・8㌶)、第4位は徳島県(1・6㌶)、第5位は兵庫県(1・5㌶)で、第6位に和歌山県(1・2㌶)がランクインしている。総栽培面積の75%が岡山県となっており、岡山県内では「桃太郎ぶどう」の愛称で販売されることもある。
その名のとおり、瀬戸内海の地域を中心に栽培される瀬戸ジャイアンツ。県内で購入可能であるので、ぜひ試してみてほしい。
(次田尚弘/和歌山市)