片男波干潟でアサリ収穫目指し 和工生が活動

和歌浦漁業協同組合らと協力し、和歌山市片男波干潟のアサリ保護や生産活動に取り組む和歌山工業高校(和歌山市西浜)の化学技術クラブと、定時制の工業技術クラブの部員たちは4月27日、干潟を訪問。アサリの成長を願い、稚貝を守る作業を行った。

片男波干潟では2009年以降、エイやツメタガイの食害などによりアサリが減少し、潮干狩りが開催できていない。漁協と市は復活に向けてアサリの保護・育成に取り組んでいる。

同校によると、4年前に生徒たちが干潟を調査したところ、生物の宝庫だと思っていた干潟は、巻き貝ばかりで二枚貝がいなかったという。和歌浦でアサリが激減していることとつながりがあるのか、干潟全体を調査したいと和歌浦漁協に声をかけて活動が始まった。

観察を続ける中で、アサリの稚貝はいるが、天敵のエイに食べられるなどして育っていなかった。稚貝の多い場所を調査し昨年6月、部員が砂の中にいる1㍉ほどの稚貝を砂ごと網の袋に入れ、天敵や流出から守った。1㌢ぐらいになるまで成長させ、干潟内にある増殖場に保護網をかけ放流。春の収穫を目指し、観察を続けてきた。

同クラブの北谷泰造顧問(64)によると、昨年は1㌢ほどには育ったが、台風の影響で保護網がめくれ、エイやクロダイに半分ほど食べられてしまった他、春には収穫するまでの大きさに育たなかったという。

ことしは秋の収穫を目指し、稚貝が成長する4月から5月に向け3月から作業を開始。この日は4人の部員が稚貝が入った網の袋10㌔50個と50㌔25袋を干潟に置いた。この作業を5月上旬まで行い、3カ月ほどかけ1㌢の大きさになるまで待つ。ことしは袋に入れず、砂の上に直接網をかける方法も試し、データを取りながら観察を続けていくという。

部長の兒嶋(こじま)秀典さん(16)は「今後、商業化をすることを考え、作業をできる限り効率化していきたい。たくさんのアサリが大きく育ち、僕たちのやり方を全国の人に試してもらえるぐらいになったらうれしい」と話した。

中村はなみさん(17)は「まだ手探りだけど在来種と共存しながらの方法なので自然に優しい方法だと思う」と笑顔で汗を流していた。
育成しているアサリは、9月中旬ごろから収穫し、和歌浦漁協で販売する予定だという。

アサリの保護に取り組む部員ら

アサリの保護に取り組む部員ら