高大生の動向も把握へ 和市人口対策本部会議
和歌山市は4月30日、市人口対策本部(本部長=尾花正啓市長)の第2回会議を市役所で開いた。人口の社会増実現に向け、転出抑制などの取り組みが重要とし、転出が多くなる大学進学、就職の時期の動向をより詳しく把握するため、尾花市長は、高校生や大学生の意見を聞く機会を設けることなどを提案した。
同本部は、人口減少に全庁が連携して対応し、市の基本戦略を策定することなどを目的に設置。副市長や局長ら市幹部で構成する。
3月の初会議以来の開催となったこの日は、民間有識者グループ「人口戦略会議」が公表したデータなども共有。2050年までに20~30代の若年女性人口の減少率が50%を超える「消滅可能性自治体」が全国で744、県内23市町に達する中、和歌山市は該当せず、10年前の報告と比べて若年女性人口の減少率は改善し、30・6%となっている。
出生率が低く、他地域からの人口流入が多い「ブラックホール型」の自治体で和歌山市から近いのは大阪市で、実際に流出先として最も多いこともこの日の会議で報告された。
50年の市の推定人口は約28万人で、最新の国勢調査結果である20年の約35万7000人から35年間で約7万7000人減少する見込み。人口構造が高齢者に偏るため、就業者数が減り、労働力が不足する他、1人当たりの医療費、社会保障費もさらに増大が予想される。会議では、人口社会増の対策だけでなく、これらの問題への対応策を講じる必要性も確認した。
市内高校の県内就職率は女性の方が高い傾向があり、23年は男性の83・5%に対し女性は90・1%に達した。こうした状況も踏まえ、就職や進学を迎える高校生や大学生の考え、動向の調査が必要との意見が出た。
尾花市長は「和歌山市には県都としていろんな役目がある。市の活性化、持続可能な都市とすることも大事であり、県全体の人口流出の防波堤になることも大事だ」と話した。
対策本部会議は5月にも開催を予定し、6月をめどに総合戦略の素案を作り、市議会への説明やパブリックコメントを経て、年内にも策定を目指している。