貴重な南高梅使って 中野BCで梅酒の仕込み
6日の「梅の日」、和歌山県海南市藤白の酒造メーカー、中野BC㈱は、ことし初の梅酒の仕込みを行った。
ことしの梅は不作となる中、県内の契約農家で育てられた2L(4㌢)サイズ以上の「南高梅」を約22万粒、約8・5㌧を使用。梅酒杜氏の藤原弘彰さん(48)ら9人が、高さ4・2㍍、直径2・6㍍のほうろう製の特大熟成タンクの上から豪快に投入していった。
藤原杜氏は「梅酒造りに携わってきた18年の中で経験したことのない厳しい年だった」と話す。暖冬のため梅の花の開花が3週間早く、ミツバチの受粉が活発に行われず、3月20日のひょう被害や、梅エキスを好むカメムシの大量発生が重なり、例年の半分の収穫量だという。
藤原杜氏は「少ない中でも入荷を迎えて一安心した。実太りも良好。貴重な梅を生産者と加工者が一体となり、おいしい梅酒に仕上げたい。ご期待ください」と話している。
また、海外輸出に力を入れる同社では、取引先や外国人スタッフらも作業を手伝った。ニュージーランドで同社の酒を販売する取引先の志野宗弥さんは「仕込みを知り、自国で梅酒や日本酒を広めたい」との思いから参加。
志野さんは、かごいっぱいに入った梅を何度もタンクに投入していき、工場内には梅の甘い香りがいっぱいに広がった。
ことしは35基のタンクに漬け込む予定。漬け込んだ梅酒は定期的に攪拌(かくはん)しながら梅のエキスを抽出していく。この日、漬け込んだ梅酒は11月末に「香る南高NOUVEAU」として市場に出回る。