平和への願い新たに 戦災死者追悼法要

太平洋戦争の空襲による犠牲者を弔う和歌山市戦災死者追悼法要が9日、同市西汀丁の汀公園戦災死者供養塔前で営まれた。主催した市戦災遺族会(田中誠三理事長)の会員をはじめ約70人が参列し、不戦と恒久平和への強い願いを新たにした。

同市は太平洋戦争中に米軍による十数回の空襲を受け、約1400人が犠牲になった。特に終戦前月の1945年(昭和20)7月9日から10日未明の「和歌山大空襲」で市中心部は焼け野原となり、火災や熱風から避難してきた人々が集まっていた汀公園では最も多い748人が亡くなっている。

法要で田中理事長(88)は「悲惨な戦争の教訓を風化させることなく、後世に継承していくことが私たち遺族の責務。これからも命の重み、平和の尊さを訴え続けていくことを誓う」と思いを述べ、来賓による追悼の言葉が続いた。

和歌山大学付属小学校6年生は、児童会長の大河内寛仁さんと副会長の加藤亜琉さんが「平和への願い」を発表。戦争で未来を奪われた多くの戦災死者に思いをはせ、「命の重さや価値を分かち合い、自分から広げていくことを大切にしていきます」と述べた。

市立八幡台小、伏虎義務教育学校、同大付属中の3校の児童生徒は平和への祈りを込めて折った千羽鶴を奉納。出席者は市仏教会の僧侶による読経の中、焼香し、戦災死者に鎮魂の祈りをささげた。

 

「平和への願い」を発表する大河内さん㊨と加藤さん