増収増益で過去最高決算 東洋ライス
米に関する総合メーカー、東洋ライス㈱(和歌山市黒田、雜賀慶二社長)は第63期(23年4月~24年3月)の決算を発表。売上高は115億9000万円(前期比12%増)、経常利益は24億800万円(同215%増)、当期純利益は15億7700万円(同223%増)と大幅な増収増益となり、過去最高の業績を記録した。
米穀販売事業については、業界として前半期は販売量の減少の一方、値上げ効果もあり、販売金額が伸長。後半期は稲の高温障害による大幅な収量不足、品質低下などを余儀なくされた。
こうした中、同社の販売収入は「金芽米」の値上げもあり微増。「金芽ロウカット玄米」は、白米のようにおいしく食べられる独自品質が引き続き評価され、量販店や通販などの各チャンネルで伸長。国内のPOSデータ(販売記録)の玄米カテゴリーで6年連続1位となり、さらに白米を含む米カテゴリー全体(約2900品目)でも売上数量6位を記録した。米商品は販売地域が限定されるのが通常で、金芽ロウカット玄米のように同一商品が全国の量販店で取り扱われることは異例であり、過去最高の売上実績の要因となった。
精米機器関連事業では、製粉業者への初のBG無洗米加工機の設置、和歌山市の米販売業者の新工場竣工などにより、売上高が17億4100万円(前期比36%増)に伸びた。
第63期の取り組みでは、社会保障費の増大、生活習慣病の増加、食料自給率の低レベルでの推移、休耕地の増大による環境の悪化などの解決、改善を目指し、23年4月に「医食同源米によって我が国の国難を解決するためのコンソーシアム」を設立した。600以上の個人・企業・団体が参画し、県内自治体では県と和歌山市が参加。健康成分を多く含む金芽米、金芽ロウカット玄米などの医食同源米を、学校給食や妊産婦に提供する取り組みなどが各地で始まっている。
県内自治体での取り組みでは、すさみ町は20年6月、地元産玄米を金芽米に加工して学校給食にいち早く導入。かつらぎ町では、ことし4月から全国で初めて学校給食に金芽米のご飯と米粉パンを同時導入し、上富田町、北山村でも小中学校の給食米に金芽米を採用。和歌山市は、健康づくりに取り組む自主グループなどの高齢者約2000人に、医食同源米を配布する事業を始めている。同社は「県内自治体の取り組みは健康増進事業のモデルケースとして他の自治体でも注目されている。今後は全国レベルで取り組みが広がることになる」と話している。