持続可能性テーマ イワモトさん陶芸展

「ゴーストフロムザシー」シリーズ作品とイワモトさん
「ゴーストフロムザシー」シリーズ作品とイワモトさん

和歌山県海南市下津町出身の陶芸家でセラミックアーティストのイワモトイクコさんの陶芸展が、和歌山市東高松のギャラリー「おのまちあるふぁ」で10日まで開かれている。

海洋や環境問題をテーマにした新作や抽象作品、オブジェ、食器など163点が並ぶ。

岩本さんはイギリスロンドンに在住。1993年に女流陶芸新人賞、95年に女流陶芸文部大臣奨励賞、2019年ヤングマスターズ陶芸賞など数多くの賞を受けている。

2年前にロンドンで出会った学芸員と話した環境問題がきっかけで、木製アンティークと目のない魚を組み合わせた作品「ゴーストフロムザシー」シリーズを制作。すでにあるものを利用するSDGsを考えた作品で、アンティークとイワモトさんを象徴する「スパイク」を組み合わせている。

升目になった引き出しを使った作品は、漁師の網に引っかかった魚たちを表現。多数の魚が「助けてくれ」と、もがき抜け出そうとする懸命さが表現されている。

イワモトさんは、海のそばで育ち、魚メインの食生活をしてきたといい「魚が食べられなくなる将来があるのかもと考えた。作品を見た時、環境問題を意識してもらえたら」と話している。

他にも、トルコの糸巻きや農業者が使う木製の器具と組み合わせた作品もある。

また、子どもたちに作る楽しさや自分との向き合い方などを伝えたいと、中学校を訪問しボランティアで出前授業も行っている。

授業は、中学生に好きなアイドルや“推し”を想像してもらい、それを抽象的な形にし、さらに、自分の好きなお菓子にして頭の中で食べ、その食べたお菓子の形を紙に描くという斬新なものとなっている。

イワモトさんは「私は中学生の頃、揺れる心に苦労してきたので恩返しができれば。ドキドキワクワクを想像して、広い世界で考えるポジティブなサイクルをつくってほしい」と話す。出前授業の依頼はイワモトさんのホームページに記載のメールから。

作品展は正午~午後6時。会期中はイワモトさんが在廊する。問い合わせは同ギャラリー(℡073・460・2170)。