10歳お坊さん初めての盆 杉浦啓仁さん

仏前で手を合わせる啓仁さん
仏前で手を合わせる啓仁さん

各地でお盆の法要が行われた13日から14日にかけて、和歌山市東紺屋町の真宗大谷派光秀寺では10歳の新米お坊さん杉浦啓仁(はると)さん(和大付属小5年)がデビューし、緊張の面持ちでお経を上げた。

啓仁さんは4日、京都市下京区にある同派本山の東本願寺で得度し、僧籍を得た。法名は釋啓仁(しゃくけいじん)。得度とは髪を剃って僧になることで、3年前に兄の顕仁(あきと)さん(13)が得度したのを見て「自分もやってみたい」と決意した。

3年前はまだ幼く、髪を剃った兄の姿に衝撃を受け「お兄ちゃんの髪がなくなった」と泣いていたそうだが、それで心構えができたようで「頭が涼しい」とにっこり。

弟の魁仁(かいと)さん(7)も3年後に得度したいと話しているという。

紀州藩の地誌『紀伊続風土記』によると、光秀寺は1572(元亀3)年創建、承応年間(1652~1655)に今の地に移ったという。現在は啓仁さんの祖父・敏雄さん(75)が17代住職を務め、市内を中心に130軒ほどの檀家を抱える。

同派では、開祖親鸞が9歳で仏門に入ったことにちなみ、同じ年齢から得度を認めている。啓仁さんは同日、全国の僧侶を志す9歳から65歳までの79人と一緒に、僧侶になるための儀式「得度式」に参加。頭にカミソリの刃を当てる「剃刀の儀」の後、僧侶が着ける「墨袈裟(すみげさ)」を身にまとい、法名を授かった。

13日は副住職である父、顕良さん(46)、兄の顕仁さんと3人で、14日は顕仁さんと啓仁さん2人だけで檀家を訪ねた。

「お礼を言われ喜んでもらえてうれしかった」と笑顔の啓仁さん。目標は「お父さんのような優しいお坊さんになること」。「お経には音の高低があり難しい」と苦戦しながら仏道修行と勉強にまい進中。こつこつと地道に作り上げる作業が好きで「プログラミングと謎解き」をしている時が一番楽しいという。

顕良さんによると「3人はそれぞれキャラクターが全然違うのでどうなるか将来が楽しみ。3人のうち誰かは継いでくれると思っているが、僕が絶対に継ぐと今はまだ誰も言ってくれない」そうで、啓仁さんについては「頑張っている姿を見るとうれしい。照れ屋さんなので、自信を持って前に出てほしい」と成長に期待している。