容易にできる「桃の湯むき」

湯通しの時間と氷水がこつ
湯通しの時間と氷水がこつ

前号では、桃の概念を覆す、濃厚で芳醇(ほうじゅん)な味わいが特長の「黄金桃(おうごんとう)」を取り上げた。桃はおいしいけれど、皮をむくのが難しくて億劫という方がいらっしゃるかもしれない。今週は、容易な桃の皮むきの方法を紹介したい。

桃の皮むきとして一般的であるのが、包丁の柄に近い方の腹を外皮に優しく当て、少しずつむいていく方法。桃の硬さによってはむきづらさを感じることがあるだろう。そこで、お薦めしたいのが「桃の湯むき」である。

要領はトマトの湯むきと同じ。まず、桃の上部に包丁で十字に切り込みを入れる。続いて鍋で湯を沸かし、沸騰したタイミングで桃を入れる。10秒程度すれば鍋から取り出し、氷水を張ったボウルに入れよく冷やす。

すると、上部に入れた十字の切り込み部分の外皮がふやけてくる。外皮を指でつまんで、下部に向けてゆっくりとむいていくと、スルスルと皮が外れ、桃の果実が現れるというもの。

せっかく桃を冷やしたのに熱湯に入れるのかと抵抗を感じるかもしれない。筆者もそう感じたが、実際に試してみると気になることはなく、おいしくいただくことができた。果実の中心まで熱が通らないよう、熱湯につけるのはできる限り短時間とし、氷水でしっかりと冷やすことがこつのようだ。

さらに、果実に一定の硬さがあれば、外周に沿って桃の中心部分に、種に当たる深さで一周の切り込みを入れ、上下を両手でつかみ、それぞれの手を逆方向に回すことで、桃を半分に分離できる。

その時の桃の状態により左右されるが、さまざまな方法を試す中で、湯むきが最も容易であるように感じた。シーズンは終盤となってきたが、皮をむくのが苦手な方は、ぜひ試していただきたい。(次田尚弘/和歌山市)