日中大学生が語る両国の文化 県国際交流協

日本と中国について話す両国の学生ら
日本と中国について話す両国の学生ら

和歌山県国際交流協会主催の日中交流奨学事業イベント「日本&中国~若者たちから見たお互いの国と文化」が21日、和歌山市手平の県国際交流センターで開かれ、県との友好提携締結40周年を迎えた山東省からの留学生と、中国を訪問した和歌山の大学生が座談会を行い、体感した両国の魅力、相違点や共通点を語り合った。

座談会に出席したのは、今月行われた県から山東省への記念青少年交流団に参加した県立医科大学保健看護学部1年生の坂口璃桜さん(18)、日本中国友好協会が中国政府の要請を受けて実施している日中友好大学生訪中団に参加した和歌山大学経済学部1年生の白川知幸さん(19)と和歌山市出身で京都大学法学部1年生の長嶋希武さん(19)、山東師範大学で日本語を専攻する3年生で、和歌山大学に留学中の張悦妍さん(20)、潘新明月さん(20)、李彦奇さん(20)の6人。同大非常勤講師で中国茶高級茶芸師の津田美起子さんがコーディネーターを務めた。

日本の3人は、中国訪問の感想などを発表。坂口さんは、日本との違いを感じた場面に、コード決済が普及し、現金では支払いを断られる店もあったこと、二輪車専用の道路が設置されていたことなどを挙げた一方、高速道路のETCなどの共通点も紹介し、「日本と違うことはいろいろあるが、変わらないところも多い」と話した。

白川さんは、上海などの大都市で電気自動車や電動の二輪車が日本よりもはるかに多い光景を目にし、国が掲げる方向性や国民の意識の違いなどを感じたことを紹介。現地でのコミュニケーションを通じて、「お互いに分かろうとすることで伝わることは多い」と振り返った。

長嶋さんは、中国では博物館の来場者が日本より段違いに多く、政府や国民の自国の歴史に対する姿勢を強く感じたことを紹介し、「過去を土台にしながら現代に合わせていく一貫した姿勢が、中国の素晴らしいところだと思う」と話した。

張さんは、中国では直接的なコミュニケーションが一般的だが、日本では立場などに応じて細やかな配慮が求められることを両国の違いに挙げ、「互いの文化を受け入れる姿勢が必要」とし、両国の学生が共同の取り組みをすることなどが大切と語った。

潘さんは、両国には正月や中元の習慣など共通した点も多く、日本のアニメなどが好きな中国の若者がたくさんいることを紹介。「相手の文化を尊重しながら、共通の趣味の話題などで積極的に交流することが大事だと思う」と話した。

李さんは、和歌山に来て、紀州東照宮の和歌祭に参加した体験を披露し、「全てが神秘的で素晴らしい祭りだった。中国も日本も伝統文化をとても大切にしている」と話した。相互理解のためには、若者だけでなく高齢者を含む異なる年齢層の交流が大切ではないかと提案した。

座談会に続き、中国の代表的な舞台芸術である京劇の鑑賞があり、大阪京劇団の孫莉さんが鮮やかな色と装飾に彩られた衣装で登場し、唐の玄宗皇帝の寵妃・楊貴妃が主人公の演目「貴妃酔酒」を披露。独特の発声で演じられる舞台に来場者は見入った。

会場では山東省の緑茶、菓子も振る舞われ、来場者は中国文化を体感するひとときを過ごした。