心を伝える手紙文 小池秀和さん原稿展示

「手紙文集展は念願でした」と小池さん
「手紙文集展は念願でした」と小池さん

和歌山市の小池秀和さん(88)の「手紙文集展」が8日まで、同市三木町堀詰のレストラン・デューンで開かれている。長年書に親しみ、筆まめな小池さんが約40年間に綴った膨大な量の手紙文の下書き原稿を初めて公開。念願だった「自慢の集大成」の展示に「心、味わいといったものが希薄になりつつある世の中ですが、手紙は日本の伝統や歴史を引き継ぐ上で大切なもの。後世に残していきたい」と話している。 

小池さんは同市の総合建設会社、㈱小池組の取締役顧問。父親の勧めで、6歳で西林凡石氏のもとで書道を始めて以来、村田東嶽氏、細畠静峰氏に師事。誰もが親しめる実用書として、近代詩文の書で研さんを積んできた。 

仕事先や友人、お世話になった人へ季節のあいさつ文や暑中・寒中見舞、礼状などを送ることが多く、今展では40冊近いファイリングの他、書の額作品10点ほどを紹介。その時々で、感じ取ったことを書き残してきたという。中には、上棟式での柱文字の下書き、6年前に80歳で亡くなった妻・悦代さんをしのび、感謝を綴ったものもある。

内容によって行替えに配慮し、相手への敬意を込めるなど、文面には手書きだからこその細やかな心遣いがにじむ。小池さんは「まずは下書きし、何度も文章を読み直し、清書する。納得するまでやったことが稽古となり、自分の力や財産になりました」と話す。

人と接する中で「清く、正しく、美しく」を信条にしてきたといい「手紙のやりとりで良いのは、繰り返し読めること。温もりや愛情、その人の心根が分かる。すらすらと筆先だけで書いているようで、丁寧に気持ちを込めて書いているのが相手に伝わっていればうれしいですね」と笑顔で話している。

午前10時から午後5時まで。同店(℡073・433・7716)。