新住職「初心不改」誓う 恵運寺で晋山式

僧侶らに出迎えられる山本住職
僧侶らに出迎えられる山本住職

和歌山市吹上の大宝山恵運寺で10日、二十六世・山本寿法住職(57)が正式に寺の住職として就任する儀式、晋山式(しんざんしき)が行われた。1969年以来55年ぶりの式には、檀信徒や関係寺院の僧侶ら約200人が参列した。

恵運寺は2019年に創建400年を迎え、日本三大忍術書の一つ『正忍記』を書いた名取三十郎正澄の墓があり、忍者ゆかりの地とされている。

山本住職は2013年に父の跡を継ぎ第二十六世住職になった。19年の創建400年に式を行おうと準備していたが、コロナ禍と先代住職の病、22年の逝去で今に至ったという。

曹洞宗の一ケ寺の住職となるためには、所定の修行を積み、教師の資格を得てから申請して初めて管長から住職の辞令が交付されるのが晋山式。寺院にとっては慶事の法要で、2日間にわたって執り行われる。

この日、山本住職は隣寺の法泉寺に設けられた安下処(あんげしょ)で支度を整え、随行を伴い行列を組んで恵運寺へ向かった。

山門で檀信徒や関係寺院の僧侶らが出迎え、法語を唱え本堂へ。

県宗務所長で五百羅漢寺の池田道俔老師から住職の辞令を手渡され、山本住職は本尊、大権修理菩薩、達磨大師、歴代の住職に就任の報告と報恩感謝の誠をささげた。

その後、住職になるために長年研さんを重ねてきた学徳、力量で、若い修行僧たちと鋭い問答を取り交わした。

山本住職は「禅語に『初心不改』という言葉があり、何かを始めようという時の真っ白で純粋な心を持ち続けようという意味です。何事にも慣れてくるとおごったり、おろそかにしたりと初めの気持ちを忘れてしまいがちですが、本日の気持ちを忘れず初心を持ち続けていきたい」と決意を述べた。