和歌山を盛り上げ終局 「竜王戦」の第5局

感想戦に臨む藤井竜王㊨と佐々木八段㊧
感想戦に臨む藤井竜王㊨と佐々木八段㊧

27、28日の2日間にわたり行われた「竜王戦」第5局は28日午後4時21分、佐々木勇気八段が91手までで投了し、藤井聡太竜王が3勝2敗でタイトル防衛に王手をかけた。熱戦の和歌山対局は、前夜祭を含めさまざまな事前イベントが開かれ、地元のグルメを発信した「勝負めし」など、将棋ファンにとどまらず、多くの波及効果で和歌山を盛り上げた。

第5局は序盤、佐々木八段が角などで攻撃を仕掛け、「後手番では初めて指した」という「雁木囲い」を選択。巧みにしのいだ藤井竜王が中盤にやや優勢となり、持ち歩の多さを生かすなどして佐々木八段の守りを崩し、勝負を決めた。

終了後、対局室階下の和歌山城ホール大ホールで開かれていた大盤解説の会場に2人が登場。藤井竜王は「一日目は予想しない形で戦いが起こり、どういうふうに局面を判断するか難しいと思っていた。受けに回るような展開になり、最後は飛車をさばけたあたりで少し指しやすくなった」と対局を振り返り、佐々木八段は「封じ手のところでは、かなり形成をまずくしてしまったと思っていた。藤井竜王にうまく指されてしまって完敗だったが、自分ではさんざん悩み抜いて指したつもり。どこが敗着なのか今は分からないが、そういうところを改善して次に向かいたい」と第6局を見据えた。

2人と共に登壇した尾花正啓市長は「和歌山城ホールで将棋界最高峰の対局を見届けられたことを大変うれしく思う。お二人には、勝負めし、勝負おやつなどでも大変盛り上げていただき、ありがたい」と感謝した。

あいさつを終えた藤井竜王と佐々木八段は、対局室に戻って感想戦に臨み、さまざまな盤面を再現しながら議論を重ねていた。

第6局は12月11、12日に鹿児島県指宿市で行われる。