課題解決へ異業種連携 まちづくり会社設立
耕作放棄地の増加や農家の担い手不足、空き家の増加など和歌山県の紀の川市が抱く課題に異業種が連携し、解決を図ろうと、異業種の5事業者によるまちづくり会社「紀の川流域カンパニー㈱」(同市北長田、宇田篤弘代表取締役)が設立される。市内の耕作放棄地を活用した体験観光農園や空き家をリノベーションした宿泊事業などに取り組む。
同社は紀ノ川農業協同組合(同市平野、宇田篤弘組合長理事)、㈲熊井自動車(同市貴志川町、熊井智一代表取締役)、㈱般木建設(同市桃山町、船木進也代表取締役)、いわつるfam.(同市広野、岩鶴和昭代表)、㈱MISOSOUP(東京都、北川智博代表取締役)が共同出資し、設立する。資本金は1000万円。宇田さんが代表取締役、船木さん、岩鶴さん、北川さん、熊井自動車の高瀬直志さんが取締役を務める。
2022年度の地域商社設立検討業務、23年度の地域連携ビジネス創出支援事業、本年度の地域課題解決型ビジネス創出支援事業といった市の事業を通して交流のあった5社で設立に至った。
同市北長田の耕作放棄地を整備した約60㌃の自社管理体験農園を有し、12月上旬にブロッコリー、来年4、5月ごろにタマネギの収穫体験などを予定している。さらに年中通して多種多様な農産物を収穫、栽培できる市の特性を生かし、地域の農園と協力した体験農園、農園周辺の空き家を活用した宿泊事業などを通して市の関係人口を増やし、農家の担い手不足の解消なども図る。
ビジネスモデルを構築できれば飲食や医療など参画する業種の幅を広げ、同市を超えた展開も想定している。
27日には市役所で記者発表が開かれ、宇田代表取締役と4人の取締役、岸本健市長、市職員らが出席した。
宇田代表取締役(66)は「本来農業が持っている多面的な価値を事業に結び付けながら、担い手不足と耕作放棄地の解決に向かってやっていきたい」と話した。
岸本市長は「紀の川市の主要産業は農業。農業の発展をなくして地域の発展はない」とし、「市として積極的に連携して官民一体となって取り組みを進め、将来にわたって持続可能なまちづくりにつなげていきたい」と呼びかけた。