イノシシ捕獲頭数大幅増 和歌山市が対策強化
和歌山市でイノシシの捕獲頭数が増加し、2023年度の636頭に対し、24年度は11月末までの8カ月間で1・7倍の1059頭に達している。住宅地での目撃例もあり、市は狩猟免許を所持する職員による巡回を増やすなどの対策を強化し、市民に注意を呼びかけている。
市に寄せられるイノシシやアライグマなどの野生鳥獣による被害の相談は、23年度が383件だったのが、24年度(11月末時点)は385件。アライグマの捕獲頭数も、23年度の341頭に対し24年度(同)は388頭で、すでに上回っている。
イノシシの捕獲頭数の増加が特に顕著な理由は、豚熱の発生により個体数が減少し、21年度には捕獲頭数で217頭まで落ち込んでいたのが回復してきていることに加え、耕作放棄地の増加なども受けて人間の生活圏内にイノシシが姿を見せる例が増えていることなどが考えられるという。
市は、県猟友会和歌山支部に補助金を交付し、個体数の削減を図るとともに、農林水産課に12年度から鳥獣被害対策実施隊を組織。現在は狩猟免許を持つ職員5人(うち非常勤2人)で構成し、捕獲用の罠の設置や巡回、農家への防護柵の設置方法の指導、傷物の農作物を田畑に捨てることで無自覚に餌付けをすることがないよう啓発する活動などを継続しているが、市民からの相談が増加し、対応に追われる現状があり、巡回の回数を増やすなどの対策強化を図っている。
特に捕獲頭数が多いのは、東山東地区や紀伊風土記の丘周辺などの地域。加太地区などでも増加が見られ、ふじと台で夜に犬の散歩をしていた住民がイノシシに遭遇するなど、住宅地での目撃例も増えているという。
市は、イノシシが人を襲うことはめったにないとした上で、遭遇した場合は、物を投げる、追い立てるなどの刺激を与えないようにし、背中を見せずにゆっくりと後退し、静かに立ち去るなどの行動を呼びかけている。
尾花正啓市長は6日の定例記者会見で、「もし近くでイノシシを見つけたり、わなを仕掛けたい人がいれば連絡をいただきたい。少しでも鳥獣被害を少なくするために、市として取り組みを強化していく」と述べた。