災害時ガス共有 ブルースカイランドリーが海南市と協定

協定書を手にする神出市長㊧と野田社長
協定書を手にする神出市長㊧と野田社長

災害時にコインランドリーに設置しているLPガスや防災資材を活用してもらおうと、ブルースカイランドリーを展開する㈱ジーアイビー(名古屋市中区・鈴木衛代表取締役)は20日、和歌山県の海南市と協定を結んだ。協定により、海南市名高にある災害対応型コインランドリー「ブルースカイランドリー」は、災害時は通常営業しつつ、店舗に設置された同社保有の備蓄資材を一般の人が使用できることとなる。

同社は、全国に315店舗(12月末)の「ブルースカイランドリー」を展開。そのうち201店舗が、ガス発電機とコンロ、直径85・5㌢の煮釜などの防災資材を備えた災害対応型コインランドリーとなっている。

同社は、千葉県のゴルフ練習場のネットが倒れるなどの大きな被害があった2019年の台風15号で、断水によりコインランドリーに洗濯する人らが深夜まで行列を作ったことを受け、ガスのインフラを使い、災害時に何か役に立てることはないかと20年から取り組みを始めた。

ことし6月に海南市内に店舗がオープンしたことで協定に至った。協定は全国で55例目、県内では和歌山市や紀の川市などに続き6例目となる。

店舗設置のLPガスは通常の営業で3日分あり、災害時には乾燥機の運転と共有する。ガスは栓にホースをつなぎ、元栓を開閉する家庭にあるようなシンプルな仕組みになっている。

ガス発電機からスマートフォンの充電や電源が取れ、また、煮釜ではみそ汁換算で約120人分がまかなえるという。

市役所で行われた協定式には、同社の子会社で店舗の運営管理業務を行う、㈱ビーエスエル(名古屋市中区)の野田孝志代表取締役社長が出席。神出政巳市長と協定書を交わした。

神出市長は「避難所に発電機やカセットコンロなどを備蓄しているがまだまだ十分とは言えない。同社の提供は心強い限り。炊き出しやスマートフォンの充電などに活用したい」と感謝し、野田代表は「締結はゴールではなくスタートです。地域住民と連携し、訓練を通じて防災の意識を高めていけたら」と話した。今後は、自治体などと相談しながら、使用する体制を整えていく。