ひきこもり支援充実へ 和市が実施事業者を初公募

ひきこもり状態にある人やその家族などへの支援の充実を図るため、和歌山市は「市ひきこもり支援ステーション事業」の実施事業者の選定を初めてプロポーザル方式の公募で行うことを決め、23日に募集を開始した。締め切りは1月14日午後5時。
市保健対策課によると、市が2021年度に民生委員へのアンケート調査によって把握した、市内の引きこもり状態にある人は115人。40代が39人(34%)で最も多く、50代が26人(23%)、30代と60代が各17人(15%)と続いており、当事者の高齢化や期間の長期化の課題が表れている。
一方で、内閣府の調査では15~64歳の生産年齢人口に占めるひきこもり状態の人は2%程度とされ、市内に当てはめると約4100人となり、潜在的にはより多くの当事者がいるとみられる。
市は、ひきこもり支援事業を19年度から民間事業者に委託し、当時、市内で担い手の条件を満たす唯一の事業者だったというNPO法人が随意契約で24年度まで受託。23年度の相談実績は、来所が延べ227件、電話が98件、メールが52件、訪問が24件。当事者が専門学校や大学で学び直しを始めるなどの成果も出ている。
今回初めて公募を実施するのは、市内に同NPO以外にも事業の担い手となり得る事業者が出てきていることに加え、ひきこもり当事者の高齢化や期間の長期化、当事者と家族が社会から孤立してしまうなど多様化する課題に対応し、訪問支援の充実、地域とつながるネットワークづくりなどの機能を強化する必要性が出てきたことなどが背景にある。複数の事業者から企画提案を募集することで、より当事者に寄り添い、本人が自分の意思で今後の生き方や社会との関わり方を決める「自律」へとつながる支援の充実を図っていく。
ひきこもり支援ステーション事業の主な内容は、相談支援(訪問を含む)、居場所づくり、地域のネットワークづくり、家族などへの支援となっている。
尾花正啓市長は23日の定例記者会見で「40~60代の働き盛りの人が引きこもっているのは健全ではないと思っている。専門的な立場から相談に乗り、当事者に寄り添った、徐々に引きこもりを解消できるような支援をしていきたい。就労に結びつけることも大事だと考えている」と述べた。
公募の実施要項や必要書類などは市ホームページに掲載。問い合わせは同課(℡073・488・5117)。