有吉さんに「会いたい」 水谷八重子さん思い出語る

有吉さんとの思い出を話す水谷さん
有吉さんとの思い出を話す水谷さん

和歌山市生まれの作家・有吉佐和子の魅力を紹介するイベントが10日、同市七番丁の和歌山城ホールで開かれ、親交の深かった俳優の水谷八重子さん(85)が思い出を語った。

文化の発信を目的に同市が主催。演劇とトークショーの2部制で行われ、1975年に有吉さんの作・演出で初演された「山彦ものがたり」を、同市を拠点に活動する劇団ZEROが上演。続いて水谷さんが満面の笑みで登場すると会場から大きな拍手が湧き起こった。

水谷さんは、55年に水谷良重の名で初舞台を踏み、95年に新派の名女優だった母の名を継ぎ、2代目・水谷八重子を襲名。現在新派を支える女優として活躍している。

有吉作品に多数出演し深い交流があった水谷さんは、2月に京都市の南座で名作「三婆」に出演し、愛人役の駒代を演じる。

水谷さんは「和歌山には舞台公演で何度も来た。とても懐かしく、大好きな場所」とにっこり。「過去形になって悲しいけど、大事な友達がいたの。こうして来ることができて、胸がいっぱい」と涙をにじませた。

有吉さんとの思い出を聞かれると「『ふるあめりかに袖はぬらさじ』の舞台稽古の時、初めての女郎役でおとなしく演じていると、有吉先生が飛んできて『好きなようにやっちゃいなさい』って、ご自分のアクセサリーを楽屋に全部持ってきて『これ全部着けなさい』って。開き直ってやっていいんだっていうことを教えてくださった。それから毎日その役をやるのが楽しくなった。それが先生との最初の思い出」と振り返り、これまでの有吉作品を演じたエピソードを楽しく伝え「先生を思い出して会いたくなっちゃう」と涙ぐむ場面もあった。

トークショー後の会見で、記者から有吉作品の魅力を聞かれると「本物の人間の喜怒哀楽を描かれている。だから役者には苦労がある。その魅力を邪魔しないよう、魅力の一部になれるように演じている」と話した。

松竹創業130周年を記念した舞台「三婆」は、水谷八重子、波乃久里子、渡辺えりらが出演。2月13日から24日、京都四條南座で上演される。

2月に上演する「三婆」をPR
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