循環経済の実現へ連携 和歌山市と4社が包括協定

協定書を手にする尾花市長㊥と4社の代表ら
協定書を手にする尾花市長㊥と4社の代表ら

世界的な脱炭素の動向を踏まえたサーキュラーエコノミー(循環経済)の実現を目指し、和歌山市は20日、ENEOS㈱、花王㈱、サントリーホールディングス㈱、東京海上日動火災保険㈱の4社と包括連携協定を締結した。

循環経済は、資源の投入量や消費量を抑え、より長く有効活用しながら付加価値を生み出し、廃棄物の発生を最小限化する経済システム。今回の協定では、5者が持つそれぞれの資源や技術、ネットワークを活用することにより、市における循環経済型産業の振興を図る。

協定に基づく連携事項として「市内の未利用資源・事業活動から生じる副産物の資源化に関すること」などを掲げ、具体的には、一般家庭の廃食用油を活用した持続可能な航空燃料(SAF)の製造や、製造時の副産物であるバイオナフサを利用した製品の製造、使用済みペットボトルを新たなペットボトルに再生する「水平リサイクル」などを推進する。

使用済みプラスチックの資源化・利活用の仕組みの確立、排ガスのCO2を活用するカーボンリサイクル技術、和歌山産の再生製品のブランディングなどに関する産学官連携のネットワーク構築なども想定。連携による各事業について、リスクマネジメントや対応策の検討なども行うとしている。

協定締結式は市役所で行われ、ENEOS和歌山製造所の手島政嘉所長、花王の山口浩明特命フェロー、サントリーホールディングスのサステナビリティ経営推進本部の西脇義記副本部長、東京海上日動火災保険の柿木一宏専務取締役、尾花正啓市長の5人が協定書に署名した。

4社は自社のこれまでの取り組みを紹介し、各社の強みを生かした連携事業を和歌山で進めることの意義を強調した。

尾花市長は「日本を代表する企業との連携協定を大変うれしく思う。和歌山市は2030年にカーボンハーフ、2050年にゼロカーボンを実現することを宣言している。道は険しいと思うが、協定は心強く、脱炭素の推進、市の産業の発展に貢献する大きな推進力になる」と協定による取り組みに期待を寄せた。