竹久夢二と音楽 1日~瑞樹さん企画イベント
抒情的な美人画で知られ、詩や歌謡、童話など文筆の分野でも活躍した竹久夢二(1884~1934)と音楽のつながりを中心に、夢二にまつわる文化の魅力を紹介するイベント「大正浪漫展」が3月1~3日、和歌山市七番丁の和歌山城ホール1階展示室で開かれる。海南市のソプラノ歌手、瑞樹比美香さんが主宰する「ムジークストラッセ」が企画、主催。演奏、展示、講演などが多彩に行われる。
瑞樹さんは千葉県出身、神奈川県育ちで、15歳からイタリア人指揮者のもとでオペラと声楽を学び、17歳でイタリア・ジョルダーノ歌劇場の舞台に立つ。ベルリンフィルハーモニーやシドニー・オペラハウスでの演奏など国内外で活躍。紀州徳川家の菩提寺である長保寺(海南市下津町)の法嗣(ほっし)と結婚し、現在は同市在住、和歌山を拠点に活動している。
今回の企画は、夢二の童話『クリスマスの贈物』に作曲家の小内将人さんが音楽をつけてオペラにし、瑞樹さんに贈ったことがきっかけ。瑞樹さんは9月27日に和歌山城ホールで行う初のリサイタルで同作を初演するにあたり、夢二と、彼が活躍した大正浪漫の音楽、文化を広く和歌山で発信しようと、プレイベントとして企画した。
会場では、駄菓子屋の夢博物館(大分県豊後高田市)の協力により、大正から昭和に刊行され、一世を風靡(ふうび)した楽譜シリーズ「セノオ楽譜」の中から、夢二が表紙画を手がけた貴重な楽譜を展示。同館が所蔵する、GHQ占領下の日本で製造された希少価値の高いおもちゃも見られる。
紀州徳川家第16代・頼貞が収集した南葵音楽文庫を所蔵した南葵音楽図書館がことしで開館100年を迎えることを記念し、同文庫に関する資料の数々も展示される。
講演では、同博物館の小宮裕宣館長の「縁の下のおもちゃ持ち」(1日)、元和歌山市立博物館総括学芸員の太田宏一さんの「大正時代の和歌山市」(2日)、南葵音楽文庫研究員の林淑姫さんの「大正期の音楽とセノオ楽譜~音楽の花ひらく頃」(2日)などの演題が並ぶ。
音楽では、瑞樹さんが、夢二の代表作「宵待草」を中心に明治・大正期の童謡やセノオ楽譜に収録された西洋音楽作品を演奏する「大正浪漫の調べ~夢二と共に~」(2日)をはじめ、県内で活動する音楽家や団体による演奏会が行われる。
夢二や同時代の作家らの文筆作品の朗読会、活動弁士の語りで楽しむ無声映画の上映などもある。
瑞樹さんは「夢二が活躍した大正期は、子どもの心を育てるための童謡が数多くつくられ、時代を象徴する曲となっている。いろいろな視点から夢二の時代を感じ、当時のふるさと和歌山のことも知ってもらえる機会になる。ぜひご来場ください」と呼びかけている。
展示エリアは無料で、ステージイベントは一部有料。各イベントの詳細はムジークストラッセのホームページに掲載。問い合わせは和歌山ライブの歩き方(℡073・457・1011)、ムジークストラッセ(musicstrasse.classic@gmail.com)。
関連企画として、瑞樹さんとピアノの香川紀恵さんによる「OPERAディナーショー」が1日午後6時から、和歌山城ホール1階「わらいや和歌山城」で開かれる。洋食料理と飲み放題つきで1万2000円。さまざまな女性の姿を描いたイタリアオペラの名曲を、トークを交えて歌う。予約はムジークストラッセ。