ベトナムの大学を継続支援 SI和歌山紀ノ川

女性の地位向上や青少年育成などに取り組む奉仕団体「国際ソロプチミスト(SI)和歌山紀ノ川」(谷口令子会長)は、ベトナム国立ホーチミン市師範大学に対し、女性奨学金と日本語書籍の蔵書「SI和歌山紀ノ川文庫」を寄贈する。14年にわたり継続している取り組みで、同国の障害児教育や日本との交流を担う人材育成への貢献を続けている。
寄贈は、SI和歌山紀ノ川の認証20周年記念事業として2011年に開始。当初は和歌山大学教育学部教授を務めた江田裕介さんが、現在は竹澤大史准教授が協力し、女性奨学金はホーチミン市師範大の障害児学科で学ぶ学生に対して、SI和歌山紀ノ川文庫は日本語学部に対して贈っている。
ベトナム戦争の際にアメリカ軍が散布した枯葉剤により、ベトナムでは多くの人々が重い疾患や障害に苦しみ、2世、3世にもその影響が続いている。そのため、同国は障害児教育に力を入れ、障害児学科はこの分野に携わる人材を輩出。アルバイトで学費を捻出しながら学ぶなど、経済的に困難な事情を抱える学生もいる中、SI和歌山紀ノ川の奨学金は意欲ある優秀な学生の学業、研究を支えており、奨学金を受ける学生は今回で100人を超える。
SI和歌山紀ノ川文庫は、日本の教科書や小説、絵本をはじめ、料理などの生活関連書籍も含めて多彩な本を毎年50冊程度寄贈。日本語を学ぶ学生の教材や教員の研究資料などに活用されており、今後は、ホーチミン市師範大に完成した新しい図書館の中にコーナーを設けて所蔵されることになっている。
和歌山大とホーチミン市師範大には交流があり、和歌山大の学生たちと竹澤准教授がベトナムを訪問する際に寄贈品を現地に届ける。
今回の寄贈分は約40冊で、和歌山市のSI和歌山紀ノ川事務所を訪れた竹澤准教授に、谷口会長が奨学金の目録と書籍を託した。
谷口会長は「学生たちの具体的なお役に立ち、奨学生からは感謝の手紙が届いている。会員にとっても誇れる、うれしい奉仕活動になっており、和歌山大学の皆さんのおかげで続けることができている。これからも継続していきたい」と話している。