ふるさと納税の原点に 県が返礼品なし事業追加

返礼品なしのふるさと納税をアピールする岸本知事
返礼品なしのふるさと納税をアピールする岸本知事

和歌山県は8日、ふるさと納税の新たな寄付対象に、返礼品を設けない「わかやま未来応援型」として15事業を追加した。返礼品による寄付獲得競争の様相も見られるふるさと納税制度に一石を投じ、自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度の原点に立ち返り、「和歌山を応援したい」との気持ちからの寄付を呼びかける。

県のふるさと納税「ふるさと和歌山応援寄付」ではこれまで、返礼品ありのメニューが13と、県内学校の卒業生などから教育環境の充実を目的に募る返礼品なしのメニューが1あった。2023年度実績で、寄付は約3900件、総額約1億1900万円寄せられ、うち返礼品なしの寄付(返礼品を辞退した場合を含む)が約5400万円、全体の45%となっている。

8日の定例記者会見で岸本周平知事はふるさと納税制度について、和歌山で育ち、県外に出た人などがふるさとに寄付し、税額控除を受けられることは「とてもいい制度」とした上で、「本来は返礼品があってはいけないと思っている」と述べ、自治体間に返礼品の競争が起こっていることや、莫大な宣伝費が投じられていることなどを批判。「県としては、返礼品はないけれども、和歌山の政策を応援してやろうという方々に寄付を頂きたいということで(新メニューを)作った」と説明した。

「わかやま未来応援型」の新メニューは、県庁内で重要な政策課題を募集して決定。防災力の向上、eスポーツの推進、こどもの居場所づくり、チャレンジドの社会参加促進、県立近代美術館の活動応援など15の取り組みの中から選んで寄付ができる。従来の14メニューへの寄付も引き続き募集している。

新メニューの周知や申し込みには、利用料が発生するふるさと納税のポータルサイトは使用せず、県のホームページやSNSで情報発信する他、県人会をはじめさまざまな団体や企業などを通じて寄付を呼びかける。

税務課は「取り組みの意義や効果をアピールし、共感、納得を得て寄付をしていただきたい」と話している。