各界の功労たたえて 春の褒章に県内から4人
2025年春の褒章受章者が29日に発令された。県関係の受章者は4人で、いずれも公衆の利益や公共の事務に尽力した人に贈られる藍綬での受章。5月中下旬に各省庁で伝達され、その後、東京で天皇陛下への拝謁が行われる。
今回を含めた県内の受章者総数は、男性1011人、女性138人、3団体の計1152(黄綬510、藍綬631、緑綬5、紫綬6)となる。
晴れの受章者は次の皆さん。
【藍綬】
大嶋昌代(72)調停委員、和歌山市中之島▽亀邦弘(69)和歌山市消防団副団長、同市加太▽玉井良弘(78)保護司、和歌山市直川▽古久保久代(75)保護司、田辺市龍神村殿原
藍綬 保護司
玉井 良弘さん(78)
― 和歌山市直川 ―

心に寄り添い信頼築く
和歌山市直川で生まれ育ち、「地域の人に育てられた。その恩返しがしたい」と、2人の息子が通う小・中・高校でPTA会長を務めた。東京海上損害調査㈱で事故などの調査人として働き、定年退職してからは地区公民館の館長、連合自治会、社会福祉協議会、地区のボランティアコーディネーターなど多数の地域活動に参加。
知り合いからの推薦を受け、2005年から保護司としての活動を始めた。刑務所から仮釈放された人や少年事件で保護観察処分になった人などを担当し、月に2回ほど、およそ1時間かけて面接する。これまで16人の犯罪や非行のある少年を社会生活に順応できるよう支援してきた。
仕事や友人関係、生活のことなどさまざまな会話を通じ、相手と信頼関係を築いていく中で「本心を聞けるよう相手からの言葉を待ち、命令や注意にならず寄り添えるよう、言葉使いにはものすごく気を遣った」と振り返る。
「給料ようさんもうてるか?」、「親に恩返ししよな」など声を掛け続け、約2年間見守っていく。
交流が深まり、旅行に行ったら土産を買ってきてくれることもあり「悪い子は一人もいなかった」。
18年~21年には犯罪被害者担当保護司として活動した。
受章には「すごく光栄なこと」と喜び「今後も不幸な子どもが生まれないよう、安全に暮らせるよう、見守り続けていく」と優しく笑う。