春の叙勲、県内から40人 各界の功労者に栄誉

各界の功労者に贈られる2025年春の叙勲の受章者が29日に発令され、和歌山県関係は64~85歳の40人(うち女性2人)が受章した。受章者の内訳は、旭日小綬章3人、旭日双光章4人、旭日単光章5人、瑞宝中綬章2人、瑞宝小綬章5人、瑞宝双光章10人、瑞宝単光章11人。今回を含めて県内の受章者総数は5185人(うち女性399人)となった。

5月中下旬に県庁や各省庁で伝達され、その後、東京で天皇陛下への拝謁が行われる。晴れの受章者は次の皆さん。

【旭日小綬章】
清水義隆(74)元県社会保険労務士会会長、湯浅町湯浅▽松原敏美(70)元日本弁護士連合会理事、和歌山市西浜▽森下正紀(74)保護司・元県石油商業組合理事長、和歌山市有本

【旭日双光章】
尾﨑達哉(72)県行政書士会副会長、日高川町小熊▽小松英夫(74)元湯浅町議、湯浅町湯浅▽高誠(70)県歯科医師会常務理事、和歌山市太田▽味村正弘(73)県調理師会会長、和歌山市湊

【旭日単光章】
恩賀要(74)紀の川市商工会会長、紀の川市粉河▽中村静男(74)県職業能力開発協会理事、田辺市芳養町▽畠中眞澄(73)広川町南之町区区長、広川町広▽増田和則(72)㈱マスメン代表取締役、和歌山市福島▽森川要(75)元アイエムティー㈱代表取締役、印南町西ノ地

【瑞宝中綬章】
村瀬憲夫(78)近畿大学名誉教授、和歌山市直川▽山本哲(80)和歌山大学名誉教授、海南市且来

【瑞宝小綬章】
立野淑郎(77)元公立高校長、御坊市薗▽丹後正己(71)元第十一管区海上保安本部次長、田辺市たきない町▽冨上健次郎(79)和歌山工業高等専門学校名誉教授、湯浅町吉川▽畑﨑周定(77)元公立高校長、みなべ町埴田▽林正義(70)元和歌山市消防正監、和歌山市坂田

【瑞宝双光章】
赤松進(76)元公立中学校長、有田市港町▽稲田賢(75)元串本町消防団団長、串本町大島▽河原洪三(85)元大阪府村野浄水場長、橋本市城山台▽古居富茂(75)元公立中学校長、みなべ町東吉田▽津田成章(74)元公立小学校長、和歌山市吹屋町▽七瀧惠子(74)行政相談委員、白浜町堅田▽東本義雄(70)元近畿地方整備局用地部用地調整官、和歌山市新在家▽堀切卓(71)学校歯科医、橋本市橋谷▽松本兼一(75)元県県土整備部技監、かつらぎ町佐野▽宮本三郎(76)元白浜町消防団団長、白浜町内ノ川

【瑞宝単光章】
池田宏(77)元古座川町消防団副団長、古座川町明神▽井畑透(76)民生・児童委員、和歌山市広瀬中ノ丁▽尾﨑史直(74)元橋本市消防団分団長、橋本市古佐田▽神谷幹夫(76)元紀美野町消防団分団長、紀美野町井堰▽重田義明(69)元大阪府職員、和歌山市湊▽庄司正幸(72)元紀の川市消防団団長、紀の川市桃山町段▽竹井廣幸(77)元湯浅町消防団副団長、湯浅町湯浅▽堂ノ浦進(76)元九度山町消防団副団長、九度山町九度山▽橋爪孝(64)元近畿日本鉄道㈱大阪統括部工機部検車課古市検車区長、海南市下津町丁▽山﨑武信(76)元海南市消防団副団長、海南市日方▽山添伸(66)元かつらぎ町消防団副団長、かつらぎ町御所


旭双 県調理師会会長
味村 正弘さん(73)
― 和歌山市湊 ―
味村 正弘さん

食の道、飽くなき探究

料理を始めた15歳から「常に新しいものを追いかける気持ち」は変わらない。

中学校3年生でアルバイトした西洋食料理店で料理長が振る舞う食事に感動し、この世界に飛び込んだ。その後、当時まだ浸透していなかった、食材の持つ自然な風味や質感、色などを重視した「新フランス料理」を独学で習得。36歳で出場した世界料理オリンピックで金メダルを獲得。

「日本人の味覚に合うフランス料理」を目指し、和歌山県産食材や柑橘(かんきつ)類、しょうゆなどなじみのある味を隠し味にするなど創意工夫を心掛け、その卓越した技能で評価を受け、数々の賞に輝いている。2021年には「卓越した技能者(現代の名工)」の厚生労働大臣表彰を受けた。

同市片岡町に42歳で開店したフランス料理店「JOY味村」は昨年30周年を迎え、多くの人に愛される名店として親しまれている。

「店に食べに行くことが一番の学び」と休日も味を探究し続け、今も学ぶ日々。「店は健康である限り続けたい。あと20年は働けるかな」と笑う。

県調理師会の会長としては、会員への指導育成や、調理技術水準の向上に貢献。子どもに料理の楽しさを伝える出張教室「キッズシェフ」の開催や、大規模災害時に温かい料理を提供できる体制を整える協定を県と結ぶなど、料理を通じた社会貢献にも精力的に取り組む。

「和歌山には山や川、海があり、どこにも負けないおいしい食材が豊富にある。それを日本と世界中の人に広めたい」と、さらなる夢を掲げ、高みを目指す。