みんなの居場所に eスポーツにカフェ融合

eスポーツ施設内では食事も楽しめる(中央は光夢さん)
eスポーツ施設内では食事も楽しめる(中央は光夢さん)

「将来に不安を抱える人など、さまざまな思いを持った人たちの居場所になりたい」――。不登校を経験し、現在は通信制高校に通う諏訪光夢(ひろむ)さん(18)は自身の経験からそんな思いを抱き、和歌山市内原にeスポーツ施設の健康研究所「ノマディックeスポーツ」を立ち上げてから10カ月。さらに間口を広げようと、eスポーツにカフェを組み合わせた施設運営を開始した。

「ここならどんな人でも支え合うことができる」と光夢さんは言う。施設の立ち上げからこれまで、eスポーツを楽しみたい人、不登校を経験した人、不登校の人、不登校の子どもを持つ親など、さまざまな人たちが、つながりを求めてこの場所に集まってきた。

施設を運営する中で、父親の智也さん、母親の有佳さんは「光夢は見違えるほど変わった」と口をそろえる。中学生の頃に起立性調節障害と診断され、学校に行くことができなかったが、今では施設を利用する初対面の人にも堂々と対応、笑顔で接客し、eスポーツの楽しみ方などを紹介している。

カフェは、同施設に隣接する智也さん経営の健康研究所「鉄板ダイニングBENK」を利用。eスポーツ施設内でも食事を楽しむことができ、「これまで以上にリラックスしながら楽しんだり、落ち着けたりできるようにしたい」と話す。

カフェでは智也さんの知見を生かし、健康に良いコーヒーやお茶に加え、県産で無添加の梅とトマトを使用した「和歌山ナポリタン」など豊富なメニューを提供。光夢さんもさまざまな知識を学びながらコーヒーを淹れ、「まだまだだけど、ちょっとずつ上達してきた」と笑顔を見せる。

eスポーツ施設で特に人気なのは、プロレーサー気分を味わえる「レーシングシミュレーター」。同施設には6台を設けており、「公道では出せないスピードや、驚くほどの車の高級感が味わえ、なかなかできないすごい体験ができる」という。その他、格闘ゲームなども楽しめる。

「『もっと早くここを知りたかった』という利用者さんの声がうれしい」と光夢さん。「僕自身も孤独を感じることがあった。将来には大きな希望がある。そう思えるきっかけになれる人になり、ここをその居場所にしたい」と意気込んでいる。