5年ぶり「世界民族祭」 7月に紀美野町で

和歌山県内最大級の国際交流の祭典「世界民族祭」が7月5、6日に5年ぶりに復活する。5日は前夜祭、6日は当日祭として、紀美野町下神野市場の町文化センターを会場に世界10カ国以上の舞踊や音楽、グルメが楽しめる。14日に実行委員会が会見を開いて発表した。
世界民族祭は、りら創造芸術高校(同町真国宮)などでつくる実行委員会が、過疎地から「世界を文化の力で平和にしていこう」と2009年に始めた国際交流の祭典。各国の伝統音楽や舞踊などにふれることができ、国境を超えた交流の場として、同校や和歌山大学などの学生と真国宮の地域住民が協力して続けてきた。
19年の開催時は、約1万人が来場するイベントになったが、新型コロナ感染症拡大の影響で20年から休止となり、世代を超えた交流の場がなくなってしまった。子どもたちが世界とつながる学びの場になること、地域の活気を生み出すきっかけになればと復活を決めた。
実行委員長の北村祥子さん(35)は第1回開催時、りら高校1期生で3年生だった。現在、同校の教諭として勤務し、祭りを復活させようと準備を進めてきた。北村さんは「民族祭が子どもらの希望となり、国境を超えて世界が一つになるきっかけになれば。来てくださる人が世界を知り、文化を楽しみ、互いを認め合う祭りにしたい」と意気込む。
これまで実行委員会は地域主体で進めてきたが、今後の継続を目的に、地域への恩返しを込めて、学生たちを中心に卒業生や保護者らで構成する「りらサポーターズ」、同町観光協会や民泊協議会などの団体とも連携して多世代で祭りをつくる。
当日祭は午前10時~午後5時。日本をはじめ、世界の伝統芸能のステージが楽しめる。人形浄瑠璃や和太鼓、獅子舞、セネガルのアフリカンドラム、ポーランドの民謡などのパフォーマンスが披露される。りら高生の創作舞踊「空海」の発表もある。
グルメや雑貨の約40の出店があり、インドのカレーやタイのガパオライスなど世界の本場のグルメが味わえる。
館内のホールではイスラエルで暮らすアラブ人の文化に焦点を当てたドキュメンタリー映画を上映し、NPO団体国境なき子どもたちの講演会も予定している。入場料500円、高校生以下は無料。
前日祭は午後4時~7時。よさこいや吹奏楽の演奏などを予定。グルメブースも20店ほど並ぶ。当日祭のみ、JR海南駅と和歌山電鐵の貴志駅から無料送迎バスが運行する。
クラファンにも挑戦
会見では実行委員会のメンバーが意気込みを語った。生徒代表で3年生の荒井杜和(とわ)さん(17)は、入学前から世界民族祭をやりたいと思っていたといい「民族や祭りのローカルなところが好き。教諭から聞いた『真のグローバルはローカルでつながっている』という言葉が心に残っている。民族祭を通してローカルの良さを皆で分かち合えたらいいな」と話した。
2年の峪禅(さこ・ゆずる)さん(16)は「過去の民族祭の話を聞いて外国の人との交流にわくわくしている。民族祭を通して、コロナで途絶えた世界と日本の関係を少しでもほぐせたら。応援お願いします」と伝えた。
北村委員長は「国境を越えて一つの世界としてお互いを認め合う民族祭に、未来を担う学生がいてほしい。祭りを経験することで世界平和へ小さな一歩でもつながってほしい」と話した。
また、100万円を目標にクラウドファンディングにも挑戦している。6月15日まで。支援金は舞台設営や出演料、消耗品購入などの諸経費に使用する。リターンは当日入場券やオリジナルグッズ、CM動画撮影など。支援はキャンプファイヤーから。