万博でものづくりや食PR 海南市、紀美野町

海南市の紀州漆器を紹介する谷岡さん
海南市の紀州漆器を紹介する谷岡さん

大阪市此花区夢洲で開催中の大阪・関西万博で15、16日の2日間、和歌山県海南海草地域の出展があり、関西パビリオンでは、紀州漆器の展示や解説、同パビリオン隣の多目的エリアでは、海南市と紀美野町による、ものづくり体験や観光PRなどが行われた。

紀州漆器の展示解説では、海南市の伝統工芸士の谷岡公美子さんが、自身の工房で使用している道具や製品を並べ、朱色に黒色の模様が特徴の根来塗について工程を解説。

来場者は、漆を塗る刷毛の素材が女性の髪の毛であると聞き、驚いていた。

他にも、谷岡さんは漆に鉄粉を混ぜることで黒色になること、艶を出すために鹿の角の粉を使用していることなどを説明し「海南市が紀州漆器の産地であること、漆器は普段使いすることで100、200年使用できるので自宅に眠る漆器があるなら使ってほしい」と話した。吹田市から来た70代の女性は「家にしまったままの漆器があるので帰ってすぐ使いたい」と笑顔だった。

多目的ホールでは海南市が、深海産業㈲と紀州漆器組合青年部の棕櫚(しゅろ)たわし作りと漆器の技法、シルクスクリーンで絵付けする体験ブースを出展。紀美野町は、同町観光協会と商工会が生石高原やみさと天文台など町内の名所をPRし、紀州マルイチ農園ときみのフルーツ、たわわ商店が、栗やハッサクのジャム、かんきつジュース、山椒などの試食販売をした。栗ジャムに興味を持った外国人は一口食べると「ベリーグー」と笑顔で購入した。カナダ人は、〝ジャパニーズペッパー〟と呼ばれる山椒についての特徴や、こしょうとの違いなど熱心に聞いていた。

海南市と紀美野町の公式PRキャラクターの海ニャンと、きみちょんが登場すると外国人らが「かわいい」と駆け寄り、ハイタッチや写真撮影を楽しんだ。同町のインスタグラムをフォローすると、きみちょんのフィギュアやバッジが当たるカプセルトイも人気で、初日でフォロワーが500人も増え、PRにつなげた。

万博への来場が8回目だという、八尾市から来た竹本瑛子さんは「白浜や串本には行ったことがあるが海南市と紀美野町について初めて知った。大阪から近くでススキの名所や肉眼で天の川が見られるなんて知らなかった。行ってみたい」と話した。

また、同町にあるりら高校の生徒も、同町に深く根付いた産業や取り組みを生徒制作の動画を用いて発表した。同町にあるブドウハゼの原木に関する調査や天然記念物の再登録、ブドウハゼを使った化粧品「マルチバームキノミノリ」の企画開発、商品化について話した。

一日で5600人以上が来場し、用意した観光パンフレットなどがなくなり、盛況だった。海南海草振興局の職員は「海南紀美野を知らない人が多かった。ぜひ魅力を知ってもらい、現地に訪れてほしい」と話した。