「奇跡の一瞬」逃さず 大瀬さんが写真展

和歌山県紀美野町の大瀬克幸さん(77)の写真展「大瀬克幸がカメラを向けた風景」が28日まで、和歌山市古屋のティーズカフェで開かれている。和歌山の何気ない風景を、視点を変えて撮ることをコンセプトに、同市片男波やみなべ町の千里海岸などで撮影した13点が並ぶ。
店内に入って正面にあるのは「10秒間の奇跡」と題した高野龍神スカイラインの雪景色とごまさんスカイタワーを写したA1サイズの作品。青空に白い樹氷の木々の枝振りが立派で、迫力ある一枚。10年ほど前、仲間との樹氷撮影で写したもの。大瀬さんによると、その日はずっと暗い雲がかかり、いつまでたっても撮影条件に適さない状況だったという。機材とリュックを片付け、車のトランクを閉めた瞬間、雲が流れてタワーの真上に濃紺の青空が現れたそう。再び雲が青空をのみ込んでいく様子を見ながら、大瀬さんはとっさに車内のコンパクトデジタルカメラに手を伸ばし急いでシャッターを切った。「まさにシャッターチャンスは10秒。カメラに手を伸ばしながら構図を考え一か八かで1枚だけ撮った」と話す。
作品を見た有田川町の西林輝昌さん(79)は「タワーも入っているところがさすが。大瀬さんのような写真を目指しているが、なかなかチャンスを生かせたことがない」と話した。
その他、千里海岸の砂浜に映るヤシの木と人の影を主役にした「常夏のふたり」、浜の宮ビーチの砂浜を写した「片男波の座布団」などが並ぶ。
午前11時から午後5時まで。問い合わせは同所(℡073・460・4715)。