世界と交流し一つに 5年ぶりに復活の民族祭

和歌山県内最大級の国際交流の祭典「世界民族祭」が5、6日に紀美野町下神野市場の町文化センターで5年ぶりに開かれ、世界10カ国以上の舞踊や音楽、グルメが集結。1000人以上が来場し、世代や国境を超えた交流や暑さに負けない熱いステージを楽しんだ。
りら創造芸術高校(同町真国宮)などでつくる実行委員会が主催。過疎地から「世界を文化の力で平和にしていこう」と2009年に始め、同校や和歌山大学などの学生と真国宮の地域住民が協力して続けてきた国際交流の祭典。
当日祭と前夜祭が行われ、ステージではアフリカ音楽やハワイアンフラ、インド舞踊、沖縄エイサーなどの演奏やダンスが披露され、来場者も参加して踊ったり太鼓をたたいたりして盛り上がった。
グルメはスリランカカレーなど店舗が並び、陽気な店主がいるセネガル料理店では、世界最小のパスタ、クスクスと家庭料理マフェを提供した。
マフェは、無糖のピーナッツペーストに、牛肉やニンジンなどを混ぜたカレーのようなルーをご飯にかけて食べる料理。「名前からは想像できず、なじみのないメニューなので注文してみた」と、来場者も興味津々だった。
紀の川市の左向瑛陽さん(10)は父親と来場。音楽や料理が楽しみだといい「どんな味なのかクスクスとマフェどちらも注文した。コク深くおいしかった」と笑顔だった。
受付では、猛暑の中、りら生の保護者らが、来場する外国人に「ハロー、パンフレット、プリーズイン」などと積極的に英語で交流を図り、笑顔で対応。避暑にと、りら生発案の水遊びコーナーが設けられ、子どもらに人気だった。
館内のホールではドキュメンタリー映画の上映や講演会、お面の絵付け、浴衣の着付け体験や風鈴ワークショップなど盛りだくさんなイベントが楽しめ、民族祭担当の2年生、奥村紗和さん(16)は「たくさんの人が来てくれた。世界の人と音楽や文化を通じて交流して戦争や偏見、差別を世界から無くしたい」と話した。
実行委員長の北村祥子さん(35)は09年の第1回開催時は、りら高校1期生として参加。「第1回目の世代や性別、人種を超えた交流の光景や、つながることはこういうことかと感動したことを今でも覚えている。子どもたちが未来への希望を持ち、国境を超えて世界が一つになれば。民族祭を次世代へつなげていく努力を続けていきたい」と話した。