「先覚文化功労者顕彰」に大橋元知事
文化とスポーツを通して県民に夢と希望を与えたとして、和歌山文化協会(楠山繁会長)は本年度の第63回先覚文化功労者顕彰に、昭和42年から3期県知事を務めた大橋正雄さん(1918~75)を選んだ。12日に和歌山市のホテルアバローム紀の国で開かれた顕彰式典で、楠山会長から妻の和歌子さん(91)に顕彰状と記念品が贈られた。
大橋さんは、東京で政経関連のジャーナリストとして活動していたが、当時の小野眞次知事に請われ昭和24年に和歌山県庁に赴任。経済部長、副知事など経て知事になった。
アイデア知事、スケールの大きな政治家と評され、手掛けた文化事業も、「黒潮国体」の誘致▽文化表彰制度の拡充と県民文化祭の提唱▽県民文化会館や体力開発センターの建設▽全20巻の「和歌山県史」の発行▽文化財保護と青少年教育を目的にした紀伊風土記の丘の建設と多数。自身も茶道をたしなんだ。県から名誉県民の称号が贈られている。
式典には約140人が出席し、永岡一惠・同顕彰実行委員長が「知・情・意と三拍子そろった懐の深い人でした。『一灯照隅』が大橋さんの好きな言葉でしたが、その明かりは県民の心にともっています」と大橋さんの生涯と人となり、業績を紹介。
仁坂吉伸知事が「経済と文化と福祉の調和を求め、県政史に輝く業績を残した。顕彰を県民の皆さまと共に喜びたい」とメッセージを寄せた。
遺族を代表し、長男の大橋建一市長が、落語が好きだったことなど家庭での素顔にふれ、「父も草葉の陰で喜んでいることと思います」と感謝の言葉を述べた。