秋の褒賞 和歌山からは9人に
平成25年秋の褒章受章者が3日に発令される。県関係の受章者は64~84歳の9人(男性6人、女性3人)。内訳は、各分野の業務に精励して模範となる人に贈られる黄綬が6人、公衆の利益や公共の事務に尽力した人に贈られる藍綬が3人。13日までに各省庁での伝達と拝謁が行われる。
今回を含めた県内の受章者総数は、女性94人、団体1を含む974(黄綬445、藍綬521、緑綬2、紫綬6)となる。晴れの受章者は次の皆さん。
【黄綬】岡茂治(66)大阪木材市場㈱社長、九度山町九度山▽武井昭和(84)㈱武井工業所代表取締役、田辺市新屋敷町▽土井深(64)㈲志賀野設備代表取締役、和歌山市太田▽中谷忠弘(70)三谷一級建築士事務所所長、有田市宮崎町▽柳眞吾(73)司法書士、海南市冷水▽輪宝順一(65)㈲拓宝住建取締役、和歌山市新在家
【藍綬】乾三千代(73)保護司、和歌山市粟▽竹原雍子(73)同、海南市下津町下津▽堀登世(68)民生・児童委員、串本町串本
信頼を生む営業方針
昭和56年、宅地建物取引の業界に入り、近畿圏を中心に仲介と売買を行っている。「家や土地を買うのは一大決心。初心を忘れず、相手に寄り添った営業方針が信頼を生む」と話す。取り引き期間は2~2カ月半。入念に事前調査を行い、客に建物と土地について欠点を含めて伝え、アドバイスする。
県宅地建物取引業協会では、和歌山支部長、専務理事を経て、平成22年から会長を務めている。会員は多い時で1370業者だったが、バブル崩壊の影響や高齢化で現在は750業者に減少。日本の不動産業の総売上はほとんどが大手企業が占めており、中小企業の生き残りは難しいと現状を示す。
人が基本の商売。社員の知識、対応など人材育成が重要と考え、組織の在り方を変えるため、協会全体の意識改革に率先して取り組み、公益社団法人の取得につなげた。
輪宝さんは「思いついたら実行。切り替えは早い」と自身を分析。「皆さんの協力があってここまできた。次世代の人材育成に励んでいきたい」と話している。
立ち直りに寄り添う
犯罪や非行からの立ち直りを支える保護司の活動を始めて26年以上がたつ。
同時に2~3人は担当し、それぞれ月に2回の面接を重ねる。相手は10代の若者や女性が多い。「相手の環境や年齢を考え、心に添うように話を聞くことを心掛けてきました」
最近の若者は、心を開いて話ができるまでに時間がかかると感じている。それでも、最初は話し掛けたら返事をするだけだった少女が、2~3カ月たつと、日常生活や趣味、ボーイフレンドのことなど自分から話してくれるようになる。
面接に来ない人、再犯した人がほとんどいないことはうれしい。保護観察が終わった後も、訪問や連絡が続いている人もいる。「声が聞きたくて」「話を聞いてもらって安心した」と言われると、「本当にやってきてよかった」と感激が込み上げてくる。
長年の活動を支える家族も受章を喜んでくれた。定年まで活動は続けていく。「犯罪や非行をなくすためにたとえ少しでも力になりたい」
温かく、時に厳しく
昭和61年に委嘱され、現在まで27年間にわたり従事。罪を犯した人たちの更生を支援している。精神的、社会的な支えとなり、献身的に活動。帰住先の環境調整や犯罪予防にも力を注いでいる。
これまで薬物、窃盗、傷害といった約15件を担当。生活状況を聞き温かく励まし、時には厳しく指導する。面談は月2回のペース。「同じ目線で明るく」をモットーに、相手に寄り添い接することを心掛けている。
委嘱された当初は気負い、不安だったが、一人ずつ社会に復帰。健全な生活を送っており、明るく元気に暮らしている姿を見たり、話を聞くとうれしい。
受章に「身に余る光栄です。微力で恐縮しています。先輩方の指導、仲間の協力、家族の支えがあったおかげ。本当に感謝しています」とにっこり。「人には必ずいいところがあります。定年まであと3年ほど。気持ちを理解しながら一人でも多くの方を更生に導き、また、犯罪予防に努めたい」と話している。