精神障害の理解広げる 「つばさの会」30周年

 和歌山市精神障害者家族会「つばさの会」(岡田道子会長)の結成30周年記念総会が18日、同市吹上の市保健所で開かれた。家族に精神障害を抱える会員や支援者、市民ら約100人が出席し、講演などに耳を傾け、会員のサポートや障害への理解を深める活動などを今後さらに進めていくことを確認し合った。

 つばさの会は昭和59年9月、11人の会員で発足。精神障害を抱える家族同士が支え合うとともに、偏見の根強い社会に精神障害への理解を広げようと動き出したが、活動の困難さから会員数は一時、4人まで減少する危機もあり、数々の困難を乗り越えて、現在は約50人の会員が活動するまでに発展している。

 現在の活動は、毎月の定例会や勉強会の開催の他、平成17年6月からは毎月2回、家族の精神障害に悩む体験を持つ会員が相談員となる「心の家族電話相談」を実施。湯浅町のFMラジオ局で、岡田会長が自身の体験などを話す活動もしている。

 記念総会のあいさつで岡田会長は、30年間の苦難の歴史に触れ、「私たち家族が顔を上げて、実名を名乗って活動し続けてきた結果、現在のつばさの会がある。地域で精神障害者が当たり前に生活できる社会の実現に向けて、今後も頑張っていきたい」と力強く話した。

 県精神保健福祉センター所長の小野善郎さんは「こころの病と回復」をテーマに講演。精神障害を取り巻く和歌山の30年間について、つばさの会のように、当事者の家族や民間の支援者が手弁当で支援や社会の理解を広げてきたことを「和歌山の大きな財産となる発展があった」と指摘。専門職を中心に制度整備などが動く都会型とは異なる、和歌山のモデルをたたえた。講演の後は、音楽療法士の川野寛子さんによる音楽療法の体験が行われ、本年度のつばさの会の活動計画などが確認された。