貴志川線の財政支援継続 県と2市が10年

 県などの財政的支援が来年3月末で終了する和歌山電鐵貴志川線について、仁坂吉伸知事は17日、平成28年度から10年間の支援継続を発表した。同線が安全に運行を続けるため、老朽化した設備の整備費用を、県、和歌山市、紀の川市の3者で支援する。

 貴志川線は、経営母体が南海電鉄から和歌山電鐵に変わった平成18年度から10年間、3者が基本合意書に基づき財政的に支援してきた。

 年間利用者数は17年度の約192万人から徐々に増え、26年度は約230万人となっている。

 しかし鉄道施設の老朽化により、修繕や設備更新の経費が大きな負担となっており、鉄道事業は年間約6400万円の赤字が続く厳しい状況となっている。

 支援の対象は、国の補助制度が対象としている設備(レール、枕木、踏切保安設備など)の更新・修繕。10年間の全体事業費約18億7000万円の3分の2となる上限12億4790万円を、3者で支援する。内訳は県4億5466万円、和歌山市5億1561万円、紀の川市2億7763万円(現行の基本合意書による支援額の割合に応じて分担)。残りの3分の1は国の補助金を活用する。

 12月県議会で債務負担行為の設定を提案する予定。

 仁坂知事は「10年間は絶対なくならないので、利用者には喜んでもらえるのでは。ただ税金を投入するということは地域外の県民も負担するということ。住民にはもっと乗ってもらいたいし、乗ってもらえる努力が必要」と話した。経営が改善してきているため、廃線については検討しなかったという。

設備整備費の財政支援が決まった貴志川線

設備整備費の財政支援が決まった貴志川線