種子の安定確保へ取り組み 新ショウガ
生産量全国2位を誇る和歌山市の特産品「新ショウガ」。農商工連携による加工品のジンジャーエールが人気となるなど、今後も重要な農産物として期待されるが、安定的な収穫を図るため、種子となる「種ショウガ」の生産システムの構築が現在、JAわかやま(井邊久雄組合長)で喫緊の課題になっている。
同JA管内の新ショウガの作付面積は計37㌶。売上高は12億7000万円(平成24年度実績)で、管内の作物では水稲、ミカンに続き3番目に多い主力作物となっている。
管内全ての栽培を賄うには370㌧の種子が必要になる。種子は、病気や天候などの影響を受けやすいため、所得が不安定になることから担い手農家の育成が進んでいない。また、種子の栽培には、新ショウガを栽培する砂地ではなく、田んぼのような土が適しているなど用地の問題も存在する。
現在は、高知や熊本、長崎など他県からほぼ全ての種子を調達している状態。ことしは、高知県でショウガの病気が発生している他、熊本県では台風18号の影響でショウガの被害が甚大であり、影響を受ける可能性もあるという。
県、市、JA、県農はことし3月、「種ショウガ産地促進協議会」を設立し、栽培試験などを行い栽培手法の確立を目指しているが、産地化はまだ遠いのが現状だ。今月10日に行われたJAわかやまと尾花正啓市長との意見交換でも、同JAの重要課題として議論され、JA側は種子の保管に必要な保存庫の設置や井戸など水源確保の支援を求めた。
尾花市長は「もうかるかどうか分からないまま、農家が自前の投資でやっていくのは難しいと思う」と理解を示し、「国の経済対策補正予算などを活用して、要望が実現できるように取り組みたい」と協力する姿勢を見せている。