伊勢路旅⑫三重県尾鷲市(3)
前号では尾鷲市の特徴ある地域資源「みえ尾鷲海洋深層水」を取り上げた。今週は熊野古道の魅力を発信する施設・県立熊野古道センターを紹介したい。
県立熊野古道センターは尾鷲市中心部から少し東の高台にあるビジターセンターで、平成19年2月に開設。前々号で紹介した尾鷲ヒノキの角材のみで建築された建物は実に趣がある。高台に位置することから尾鷲湾を一望できることも魅力的。
館内には熊野古道を紹介する映像を大画面で放映するブースを起点に、紀伊山地の霊場と参詣道の概要、熊野の気候や自然、伊勢路に古くから伝わる祭りや民話、熊野詣でと曼荼羅(まんだら)の絵解き、古道を歩いた旅人と地域の人々の暮らし、熊野古道の歴史などを紹介展示。
伊勢路を中心に、和歌山県内の中辺路や大辺路、熊野三山についても紹介され、和歌山・三重・奈良の三県で織りなす古道文化を、三重(伊勢)の視点からふれることができるのは新鮮だ。
展示の他にも、尾鷲周辺の野山や海、川などの自然とふれあう体験学習として、写真学校や工芸教室などが定期的に開催されている。筆者が訪れた日曜の午後には、親子がヒノキを使った工芸品を熱心に作っていた。スタッフの方によると、ヒノキの箸づくりや紙飛行機づくりなど、週替わりでさまざまなプログラムを企画しているという。
観光で訪れた土地ならではの体験をすることは旅の楽しさや記憶を強く残すもの。尾鷲を訪れた記念に、また、伊勢路を自らの足で歩こうと考えられる方には、ぜひ、立ち寄っていただきたいスポット。
尾鷲駅から路線バスで約10分「熊野古道センター前」で下車。駐車場もあり、車でのアクセスも便利。伊勢路の魅力を学習できる熊野古道センターへぜひ。
(次田尚弘/尾鷲市)