陸奥宗光像を初訪問 加太中が修学旅行で
和歌山市立加太中学校(同市加太、堅田哲也校長)の3年生17人はこのほど、修学旅行先の東京で県内の中学校として初めて外務省を訪れ、同市出身の元外務大臣・陸奥宗光の像などを見学し、郷土の偉人と日本外交について学んだ。
(写真は加太中学校提供)
外務省訪問は、市教育委員会が同中に勧めたことがきっかけ。当初は修学旅行のスケジュールと同省の都合が合わず、断られた。しかし、同中が毎年の修学旅行で宇宙航空研究開発機構(JAXA)などを訪れ、浅草では外国人観光客に加太のパンフレットを手渡すなどの活動をしていることが伝わり、同省が時間外での受け入れを許可。3年生全員での見学が実現した。
陸奥は、明治の藩閥体制下で政党による議会制民主主義を早くから研究し、徴兵などの新制度を郷里の和歌山でいち早く実践するなど、近代日本の礎を築いた人物の一人。外務大臣時代には、不平等条約の解消に尽力し、治外法権の撤廃と関税自主権の回復を実現。欧米列強がひしめく国際社会の仲間入りを果たす立役者となった。
陸奥の功績をたたえて同省内に設置されている銅像は、明治40年に建立されたが、昭和18年に戦時中の金属回収により供出。あらためて陸奥の没後70周年に当たる昭和41年に建てられ、ことしで再建50年となる。
生徒らは、郷土が生んだ名外相の像の前で記念撮影。省内では記者会見室などを見学し、外務省の仕事や日本外交について職員から説明を受けた。
田中輝君(14)は「陸奥宗光像は外務省を守っているようだった」、名方橘花さん(14)は「マイクなどがあって、ニュースで見る記者会見場がそのまま目の前にあった」と、初めて訪れた外務省に興味津々。
堅田校長は「普段は行けない場所に修学旅行で訪れ、研修ができて良かった。生徒たちも何か『お土産』を持って帰ってきたのではないか」と手応えを話していた。