俳誌『岬』が通巻700号 岬俳句会活動60年で

 岬俳句会が毎月発行する俳誌『岬』がこのほど通巻700号を迎えた。創刊から約60年。主宰する手拝裕任さん(65)は「美しい景色を十七音にし、みんなで感動を分かち合う楽しさを、これからも多くの人に広めていきたい」と話している。

 昭和32年、山口誓子主宰の俳句結社「天狼」の支部として、前身となる「和歌山天狼会」が発足。『和歌山天狼会誌』を発行し、34年には『岬』に改題。この「岬」は、山口誓子が串本を訪れた際に詠んだ句「太陽の出でて没るまで青岬」から取った。

 現在、岬俳句会の会員数は県内外に約120人。短大生から90代まで幅広い年代が俳句に親しんでいる。主な活動は春の吟行、同会独自の俳句大会「いくり大賞」の開催、秋の1泊2日の句会、新年句会。また、県内12カ所で毎月一度の句会を開き、そのうち11カ所に手拝さんが出向いて指導する。「人間関係が良く、どの句会も雰囲気がいいんですよ」。

 県立高校で国語の教師をしていた手拝さんは昭和55年に「岬」入会。平成19年から『岬』の選を担当し、25年から主宰を務める。

 俳句の魅力を「季節と共に生きる喜び。『座の文芸』として、人同士のつながりやコミュニケーションも楽しいです」と語る。

 今後の目標は会員を増やし、個々の作品のレベルアップを図ること。「各地域で指導する中で会員も増え、決して大きくはありませんが、少しは恥ずかしくない結社になってきたかなと思います。今後も俳句を作る喜び、句を持ち寄り、互いに鑑賞し合う楽しみを伝えていきたいですね」と話している。

このほど開かれた記念祝賀会で

このほど開かれた記念祝賀会で