水軒堤防の歴史紹介 花王が小4に冊子贈呈
江戸時代に防潮、防風、防波堤防の役割として整備された和歌山市の「水軒堤防」(全長2・8㌔)の歴史などを知ってもらおうと、和歌山市湊の花王㈱和歌山事業場(松下芳工場長)は18日、同市に子ども向け冊子「水軒堤防ものがたり」(カラー26㌻)4000部を寄贈した。5月中にも市内全小学校の4年生に配布される予定。
水軒堤防は和歌山工場敷地内にも現存し、保全活動も続けている同社が、堤防の価値を子どもたちに知ってもらいたいと企画。市内の元小学校校長や環境担当の社員ら7人で編集委員会を2年前に発足させ、図書館などで資料を集め、歴史に詳しい団体などから話を聞き、冊子制作に取り組んだ。
約360年前の江戸時代初期に、徳川頼宣の命によって堤防が造られたとされる歴史や、現代の周辺開発による変遷、社員や地元住民らによる松の植樹をはじめとする保全活動などを、写真と文、イラストを交えて紹介している。
市役所で行われた贈呈式には、松下工場長の他、本社から石渡明美執行役員らが出席。冊子を受け取った尾花正啓市長は「郷土を知り、文化を知ることで、地域への愛着を持つことにつながります」と述べ、感謝。松下工場長は「堤防にある松も、風や塩害から私たちの工場を守る役目を果たしてもらっています」と、現在も堤防を保全する意義を紹介した。
同社は今後も、市内の4年生を対象に冊子の配布を継続していく予定。