サイバー犯罪対策 県警・和大・企業が協定

複雑化、巧妙化するインターネットを通じたサイバー犯罪に対処しようと、警察と和歌山大学、民間サイバーセキュリティー企業「㈱ラック」は8日、安全なサイバー空間の構築に向けて連携、協力する3者協定を締結し、県警本部で調印式が行われた。

県警は昨年度、若手警察官をサイバー犯罪捜査特別研修生に指定し、研修などを進める上で、両者の協力を得て取り組んできた実績などから今回の協定締結が決まった。

3者は今後、サイバー犯罪の対策に関する情報共有や技術的な交流、人材育成、被害を未然に防止するための広報啓発活動など、幅広い分野で連携を強化していく。

調印式で、協定書にサインを終えた宮沢忠孝県警本部長は「県内の情勢を踏まえると、サイバー犯罪やサイバー攻撃の対処能力を一層強化する必要がある」と強調。瀧寛和学長は「県内のセキュリティーを確保していく上で非常に重要な協定になった」と意義を話し、西本逸郎社長は「われわれには、数千件のサイバー犯罪の情報があるので、和大の危機管理研究などとも連携して取り組んでいきたい」と今後の展望を語った。

県警によると、県内の昨年のサイバー犯罪に関する相談件数は1368件(前年比60件増)、ことしは3月末時点で459件(同比136件増)と増加傾向にある。昨年の同種犯罪の検挙は、ファイル共有ソフト使用による著作権侵害や不正アクセス、偽ブランド品販売など56件(同比1件増)。ことし3月末時点では、ファイル共有ソフト使用による著作権侵害事件など16件(同比5件増)を検挙している。

協定書を手に(左から)西本社長、宮沢本部長、瀧学長

協定書を手に(左から)西本社長、宮沢本部長、瀧学長