天に届け島和代物語 ラジオ小説が大詰めに
島精機製作所の創業者・島正博さんの妻で、4年前に亡くなった島和代さんの波乱の生涯を描いた『紀州のエジソンの女房~島精機を支えた肝っ玉母さん・島和代物語』(梶山寿子著、中央公論新社)を朗読する、和歌山放送の連続ラジオ小説も、いよいよ大詰め。三女の山田都さん(44)の朗読が好評を得る中、和代さんの孫で都さんの一人息子・哲史(さとし)君(15)が「あとがき」部分の朗読を担当することになり、このほど番組最後の収録が行われた。
6人いる孫の中でも和代さんが特に気に掛け、多くの行動を共にし、気が合っていたのが哲史君だったという。
現在はスイスに留学中で、このほど一時帰国。都さんのアドバイスを受け、事前に練習していたこともあってか、朗読は堂々としたもの。
哲史君は「一緒にカラオケに行ったり、ぶらくり丁へ買い物に出掛けて僕が荷物を持ったり、(和代さんとの)思い出はいっぱい。僕のラジオも聴いてくれるといいな」とにっこり。
また、都さんが感極まってどうしても読めず、先延ばしになっていた章があったが、先日、哲史君が同席する中、無事読み上げることができたという。
都さんは「代わりに誰かが読んでほしいと思うほどでしたが、息子の前でしっかりしないと、と何とか収録できました。ほっとしています」と安堵(あんど)の表情。
都さんの朗読の様子を見た哲史君は「ママにできるなら自分にもできる」と感じ、今回の朗読を決意したという。和代さんが社長を務めた和島興産の社長で、長女の梅田千景さん(57)は「そういうところは、マミー(和代さん)譲り」とほほ笑む。
放送初回の冒頭に続き、最終回用の千景さんのメッセージの収録もあり、千景さんは「身内なので、ラジオを聴くのは恥ずかしい思いもありましたが、お母さんのしゃべり方もそっくりで、今は毎日とっても楽しみです」と話し「フォルテワジマ立ち上げの苦労など、あまり皆さんに知られていない部分も多い。今、それを引き継ぐ身にありますが、本や朗読を通じて、中心市街地の活性や、地域のために力を注いだ母の姿や思いを知っていただければうれしいです」と話していた。
番組は毎週月曜日から金曜日の午後4時から約10分間の放送。予定では都さんの朗読は23日で終了。24、25の両日には、哲史君が担当するあとがき、千景さんのメッセージが放送される。