黒江の町並み守ろう 住民ら相互に協定締結

  「紀州漆器」 の町で知られる海南市黒江の伝統ある町並みを保全しようと、 住民らがこのほど、 景観づくりに関する自主ルールなどを盛り込んだ 「黒江の町並みを活かした景観づくり協定」 を相互に締結した。 自主ルールでは建築物の高さや色彩について、 景観が損なわれないよう配慮するように定めている。

 黒江は室町時代に起源があるとされる日本漆器4大産地の一つ。 漆器職人たちの住居兼職場や問屋が通りに面して 「のこぎりの歯」 のように規則正しく並び、 家の前に三角の空間ができる独特の景観が特徴。

 「紀州連子 (れんじ)」 と呼ばれる特徴のある格子など、 落ち着いた雰囲気で観光客に人気だ。 中でも現在も続く池庄漆器店の建物は築200年を誇り、 国の登録有形文化財に指定されている。

 こうした景観を守ろうという動きは、 これまで行政主体ではあったが、 どれも長くは続かなかった。 住民主体の景観保全の取り組みは今回が初めてで、 「今何かしないと、 町並みが消えてしまう」 と、 周辺地域も含めて約80世帯が協定の締結に協力した。

 協定では自主ルールを定めた他、 空き家を管理してイベント時に活用することにしている。 協定の有効期間は平成29年3月31日までの5年間。 協定者の過半数以上の申し出がなければ、 さらに5年間延長して継続していく。 県は県景観条例に基づき、 同協定を 「わかやま景観づくり協定・知事認定第1号」 として認定した。

 同協定の運営協議会は、 黒江の区域外からも協働で景観づくりを行っていく 「サポーター」 を募集している。 まちづくりに興味がある人が対象で、 県外の人でも可。 問い合わせは同協議会の阪井俊夫さん (℡080・3773・3616) へ。