3年連続減の5535億円 県18年度当初予算案

 和歌山県は14日、総額5535億円の2018年度一般会計当初予算案を発表した。予算規模は前年度比2・1%(120億円)の減少。過去10年で7番目の規模で、3年連続の減少となった。わかやま中小企業元気ファンドの造成終了が主な要因。収支不足額の10億円は財政調整基金の取り崩しで対応する。少子高齢化社会を見据えて長期的な視点に立ち、新政策関連予算や社会保障関係費を確保した予算編成となった。

 県長期総合計画に掲げた将来像を実現するため、「ひとを育む」「しごとを創る」「いのちを守る」「くらしやすさを高める」「地域を創る」の五つの施策体系に基づき、取り組みを推進する。

 また全国健康福祉祭(ねんりんピック)の県内開催(19年)に向けた体制強化を図るため、推進室を推進課に再編。総務企画班、宿泊・輸送班、式典・事業室を設置する。

 仁坂吉伸知事は「『県まち・ひと・しごと創生総合戦略』に基づいた施策により、県人口の社会減が連続して改善するなど一定の成果が表れている。『未来への駆動力』を生み出す新施策を展開していく」と話している。

 歳入

 自主財源が前年度比19億円減の2312億円(構成比41・8%)、依存財源が101億円減の3223億円(同58・2%)。県税収入は県民給与所得や企業収益に関する増加見通しなどから、県民税(個人)や法人二税などの増収を見込み、11億円増の927億円。

 税収の増加に伴い、地方交付税・臨時財政対策債(臨財債)は34億円減の1883億円。臨財債を除く県債は、同元気ファンドの再造成分が66億円減少した影響で、前年度比46億円減の466億円、県債依存度は0・7%減の8・4%。臨財債含みでは696億円で、県債依存度は12・6%となる。臨財債を除いた県債残高は6675億円となる見込みで、県民1人当たり68万円の借金を抱える計算となる。

 財源不足の10億円は中期行財政経営プラン(17~21年度)に定めた財源対策の範囲内で対応。財政調整基金と県債管理基金の残高は18年度末で209億円を見込み、同経営プランの目標208億円とほぼ同額となった。

 歳出

 人件費は定年退職者による増加が見込まれ、4億円増の1401億円。公債費は同元気ファンド満期償還の皆減などで66億円減の711億円となり、義務的経費は56億円減の2284億円(構成比41・3%)。

 建設事業費などの投資的経費は36億円増の1063億円。内訳は、すさみ串本道路など国が直轄施行する道路整備などに対する県負担金や国営大和紀伊平野土地改良事業に関する地元負担金による「直轄負担金」が44億円増の136億円、昨年の台風21号による災害復旧が6億円増の85億円。その他の積立金や貸付金、補助費などが101億円減の2188億円となり、政策的経費は64億円減の3251億円(構成比58・7%)となった。

 主な新年度事業

 【ひとを育む】紀州っ子いっぱいサポート・在宅育児支援=多子世帯への保育料など無償化の拡充に加え、在宅育児世帯への支援を実施(7億2685万円)▽女性や子育て世代が活躍できる社会づくり=女性活躍企業同盟、結婚・子育て応援企業同盟のさらなる発展を図り、働きやすい職場づくりに向けた取り組みを推進(703万円)▽和歌山の文化力向上=21年度開催の国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭、全国高校総合文化祭の開催に向け、文化芸術活動への参加の機運を高め、裾野を拡大(3460万円)

 【しごとを創る】生産性革命に資する研究・開発等の推進=県内製造業や農林業における生産性の向上や地域産品の高付加価値化につながる研究開発や人材育成を推進(3億4973万円)▽戦略的インバウンド観光の推進=教育旅行や医療観光を切り口とした戦略的な誘客活動を展開(4億6159万円)

 【いのちを守る】災害に備えた港湾施設等の整備=耐震強化岸壁のある港湾など13カ所に津波・波浪ライブカメラの設置など(22億3000万円)▽「世界津波の日」高校生サミット=同サミットを和歌山で開催(5000万円)

 【くらしやすさを高める】住宅宿泊事業の適正な運営の確保=近隣の生活環境と調和した住宅宿泊事業(民泊)を推進(条例の制定)▽太陽光発電の適正な実施の推進=同発電の普及を図るため、事業実施時の安全性を総合的に管理(条例の制定)

 【地域を創る】南紀白浜空港活性化=開港50周年を契機に、県内外からの空港利用を促進(5218万円)