交通インフラの重要性考える 県などがシンポ

 紀淡海峡ルートや四国新幹線の広域交通インフラ整備による新たな国土軸の形成について考えるシンポジウム「未来を創る交通インフラ」が18日、和歌山県民文化会館で開かれ、約350人が重要性を考えた。

 県や関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会などが主催。県や徳島県、大阪府堺市の関係者、企業関係者らが参加した。

 シンポジウムではパネルディスカッションを実施。コーディネーターに仁坂吉伸知事、パネリストを内閣官房参与で京都大学大学院工学研究科の藤井聡教授や飯泉嘉門徳島県知事、竹山修身堺市長、大阪産業大学工学部都市創造工学科の波床正敏教授、ユタカ交通㈱の豊田英三代表取締役社長の識者5人が務めた。

 波床教授は、新幹線整備がもたらす影響として「日本全体に完成すれば、新大阪に集中する構造になる。関西圏が首都圏に対する力を持つにはネットワークの完成が必須条件」とし、和歌山や徳島に関しては「十分なインフラ整備こそ発展の礎になり、半島状態を解消し、生活向上が図られる」と説明した。

 飯泉知事は「関西国際空港を中間として四国や和歌山をはじめとする関西で、インバウンド(訪日外国人)をいかに引き受けていくかがポイントになる」と大阪市を拠点に徳島市などを経由して大分市までを結ぶ四国新幹線の実現とその先を見据え、竹山市長は「泉州や和歌山、徳島に関西国際空港のインバウンド効果の平準化が必要。関空を拠点とした都市機能の強化が求められ、国土軸につながる高速ネットワークの接続は不可欠」と述べた。

 また豊田社長は和歌山市と兵庫県洲本市を結ぶ紀淡海峡ルートが実現した際は「和歌山に拠点が設けられ、ビジネスチャンスが増える」と地元企業の立場で意見を示し、藤井教授は「過去20年の間、他国は公共事業費を拡大し、新幹線に関してもフランスやドイツの20万人都市で通っているのは当たり前」と海外と日本の公共事情を比較。「日本は資本主義なのに投資をせず、資本主義の原理・原則に反している状況が地方で進んでいる。皆さんの子どものために、新幹線を整備する努力を」と呼び掛けた。

 基調講演では藤井教授が「紀淡海峡ルートと四国新幹線の早期実現を」と題して講演。現在建設が進められているリニア新幹線の影響で、和歌山や四国の相対的な利便性は低下し衰退が余儀なくされることや、和歌山に新幹線が通った場合、財政と利便性のどちらの面でも確実に向上することなどを話した。

パネルディスカッションで意見を交わした

パネルディスカッションで意見を交わした