ものづくり人材を育成 ポリテクセンター

 11月は職業能力の開発と技能振興を目指す厚生労働省の「人材開発促進月間」。技術を持つ技能者人口が減少する中、和歌山県和歌山市園部のポリテクセンター和歌山では、ものづくりに関わる人を育成している。

 近年は製造業の人手不足が深刻化している。関心があっても学べる場所を知らなかったり、労働環境に不安があったり、離れていく理由はさまざま。同センターは技術別に6コースあり、半年で各科の基礎を学ぶ。昨年度の受講者は272人で、転職に向け学びに来た未経験者が多い。

 各科の中で、溶接加工科とCAD・NC技術科は募集人数は多いが、仕事場が暑い溶接、習得が難しいCADともに受講生は少なく、人材の需要と供給の差が大きい。

 溶接加工科は金属の棒を使う被覆アーク溶接、装置から送り出されるワイヤーを使う炭酸ガスアーク溶接、音が少なく薄い金属に使うTIG溶接の3種類を主に学ぶ。受講者は鉄工所などでそのまま溶接工になる人がほとんど。下山集さん(23)は実家が溶接業のため溶接に関心があり、住宅営業から転職して同科に。「溶接は人によって個性が光るのが面白い。学んだ技術がそのまま就職先で生かせるのもいい」と話す。

 一方で受講者が増加傾向なのが住宅設計や施工を学ぶ住環境計画科。製図や模型作り、内装など実践的な訓練を行い、住宅の営業や事務、設計補助と就職の幅も広く女性の受講者も多い。元介護職の筒井里衣子さん(33)は段差が多い高齢者の家を訪れ、住宅の知識があれば助けられることが増えると思い同科を受講。「普通に生活していたらふれられない部分が見えるのが楽しい。職探しのきっかけにもなったと思う」と話していた。

 同センターでは現在、1月から開講予定の溶接加工科と住環境計画科、電気設備技術科の受講生を募集している。問い合わせは同センター(℡073・461・1531)。

需要の高い溶接科の訓練

需要の高い溶接科の訓練