故郷でスポ指導の在り方提言 DeNA筒香
プロ野球・横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智外野手(27)が20日、出身地・橋本市のスポーツ推進アドバイザーに就任した。少年野球の指導者らに講演し、「自分が経験したことだけを選手に伝え、頭の中がアップデートされていない」と訴え、日頃から野球の技術や選手との関係づくりなどを学ぶよう提言。地元の小中学生ともふれあい、「失敗を気にせず、積極的にチャレンジし、野球を楽しもう」と呼び掛けた。
筒香選手は市立隅田中学校から横浜高校(神奈川)に進み、高校通算69本塁打を記録した。2009年にドラフト1位で横浜入りし、16年には本塁打王と打点王を獲得。17年の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では日本代表「侍ジャパン」の4番を務め、チームの4強進出に貢献した。
この日、市立橋本中央中を訪れた筒香選手は、平木哲朗市長から委嘱状を受け、アドバイザーに就任。任期は21年3月31日まで。
講演では、スポーツ界で昨年、悪質な反則行為や指導者によるパワハラなどの問題が相次いだことにふれ、「なぜああいう問題が起きるのか掘り下げて考えないと、また同じことが起きる」と警鐘を鳴らした。
小中学生の野球指導者に見られる問題として、選手への暴言や長時間の練習、型にはめた指導などを挙げ、「子どもはできないのが当たり前。選手は打たなかったら怒られると考え、こじんまりしてしまっている」「子どもは骨ができていないので、けがのリスクも高い。それなのに無理やり長時間練習させ、子どもが壊れている」「すぐにああしろ、こうしろと答えを与えている。選手と会話ができていない」などと指摘した。
すぐに答えを教える指導法の弊害として、選手が不調や故障に気付きにくくなるとし、「プロで活躍している選手はいつもとのちょっとした違いに気付くのが早い。(成績に)波がある選手は人に言われないと気付かない」と説明。「子どもたちに自分で先を読み、考える力をつけさせるのが良い指導者」と述べた。
高校野球にも言及し、自身は甲子園に強い思い入れがなかったとし、「プロ野球選手になりたい子は、甲子園が全てと考える高校には行かない方が良いと思う」と話した。
講演後は、小中学生約70人と交流。参加者は筒香選手が練習前に取り組んでいるエクササイズに挑戦し、倒立やハンドスプリングなどで汗を流した後、4人一組でのリレーや大縄飛び、綱引きなどを楽しんだ。
筒香選手は子どもたちに「うまくできなくてもよいから、どんどんやってみよう」と言葉を掛け、「自分の体を自由に動かせることが大事。正しい体の使い方をすれば、けがもしないし、野球もうまくなる」とアドバイス。子どもたちは「面白い」「楽しい」と笑顔だった。
市立紀見小4年の橋谷悠斗君(10)は「筒香選手に憧れて最近野球を始めました。とてもカッコよかったです。将来は筒香選手のようなプロ野球選手になりたい」と話していた。