県とNTTコミュ データ利活用で連携協定

和歌山県は9日、NTTコミュニケーションズ㈱(東京都千代田区)とデータサイエンス分野で連携する協定を締結した。NTTの研究所が開発した「秘密計算」という技術を活用し、地域の課題解決などにつなげることを目指す。

県は産官学によるデータの相互利活用を進め、日本のデータ利活用の拠点となることを目指している。この日、和歌山市東蔵前丁の県データ利活用推進センターで協定締結式があり、県の田嶋久嗣企画部長と同社の江村俊英西日本営業本部長が協定書に署名した。

県企画総務課によると、企業や自治体が外部に自らのデータを提供する場合、情報の盗み取りなどのセキュリティーリスクが大きな問題になるという。県はデータの相互利活用を進める上で外部へ安全にデータを提供できる技術が必要との考えから、NTTの研究所が開発した秘密計算技術の活用を決めた。

秘密計算技術は計算の対象となるデータを別々のサーバーに秘匿化して保存。データが断片化され、不正に取得しても元データの復元ができないようになっている。

県は実証実験の環境整備に力を入れながら、データ分析に参加する企業の増加も目指す。田嶋企画部長は「民間企業が持っている『データが漏れるのでは』という懸念を払拭(ふっしょく)するのに効果があると思う」と話し、江村西日本営業本部長は「大変有意義で光栄。データを分からない状態にしたまま解析できるのが特長。企業や個人の膨大なデータを安全に蓄積して分析することは、さまざまな社会的課題の改善につながると思う」と話していた。

協定書を手にする田嶋企画部長㊨と江村西日本営業本部長

協定書を手にする田嶋企画部長㊨と江村西日本営業本部長