天王塚古墳出土品を初公開 紀伊風土記の丘

和歌山県立紀伊風土記の丘(和歌山市岩橋)の秋期特別展「開かれた棺―紀伊の横穴式石室と黄泉(よみ)の世界」が28日から12月1日まで、同所で開かれる。紀伊の横穴式石室の導入から終焉(しゅうえん)までを通じ、古墳時代後期の紀伊の集団関係や他界観をひもとく展示になっている。

同所では2017年に紀伊最大の前方後円墳である天王塚古墳を54年ぶりに調査。天井に8本の石梁が設置された高さ5・9㍍の大きな石室が開かれた。

石室は「岩橋型横穴式石室」と呼ばれ、遺体をそのまま石室に入れて埋葬していた。石棺や木棺に遺体を入れていた畿内(現在の大阪~奈良辺り)の「畿内型横穴式石室」と埋葬方法や構造が大きく異なる。

5世紀末から6世紀にかけての紀伊では、岩橋型、畿内の影響を受けた畿内系、九州の影響を受けた九州系の他にさまざまな石室が造られ、集団の出自や政治動向、埋葬方法、他界観などの違いがうかがえる。

特別展では、天王塚古墳出土品を初公開する他、県内で調査が行われた約80基の横穴式石室の出土品など1600点を展示。天王塚古墳からは冠に付ける飾りの魚型歩揺(ほよう)や5000個を超えるガラス玉も並ぶ。

期間中は10月20日と11月17日にシンポジウム、10月5日と11月2日には特別展講座を開催する。11月24日は出土したガラス玉をイメージしたビーズアクセサリーを作るワークショップを行う。いずれも事前予約が必要。学芸員による展示解説は10月6日、19日、11月16日、30日の午後1時半から。

特別展は午前9時~午後4時半。予約申し込みなどは同所(℡073・471・6123)。

魚型歩揺

魚型歩揺